家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今日は、私の誕生日です。
年齢を言うのに抵抗がないわけではないですが
カミングアウトしちゃいます。
ついに大台に乗りました!!
「行年五十にして四十九の非を知り
六十にして六十化する」
淮南子という思想書の中に書かれている名言なのですが
ここ数年は、座右の銘として
心のなかで大事に大事にしてきたことばです。
人間、50歳にもなれば
だいたいのことはそつなくこなせるようになるし
これまでやってきた経験や知識だけで
これから生きていくこともできなくはない。
けれど49歳までやってきたことを
一旦客観的に眺めて
本当に、これでよかったのかと見なおし
50歳から、また新しい気持ちで一からやり直す。
そうして60歳になったときに
また、それまでの10年を見なおして
新たな気持で一から始める。
そういうふうに暮らしていけば
死ぬまで一生、成長し続けられるという教えだと思うんです。
私自身、これまでずーっと料理の仕事をしてきたわけですから
ひと通りは、なんでも作れるし
こんな料理を作ってくださいと言われれば
家庭料理の範囲であれば、ほぼどんなものでもそれなりに作れる自信もあります。
けれど、それらのレシピを後生大事にしていたのでは
成長できないと思うんです。
すべてのものはどんどん古くなる。
自分のレシピもどんどん古くなる。
気がつけば、自分も古くなる。
そんなの、つまらない。
私自身を取り巻く状況は刻一刻と変化しているのだから
自分も刻一刻と、変化していかねば。
お金がなくて、安くてお腹いっぱい食べられることだけを考えた時もあったし
子育てで忙しく
とにかく子供たちの健康を守って
美味しい物を食べさせたかった時期もありました。
寝ないで仕事しても、何とか頑張れたときもあったし
仕事と家事との両立でもがき苦しんだときもありました。
けれど、今は
それらのどんな時期とも違っていて
子供たちはそれなりに大人になり
私ができることは少なくなったし
親と子がいろんな意味で自立しなければならない時期に突入しました。
その一方で
私の体力は落ち
かつて寝不足で料理をしていた頃とは違うしんどさが日々襲ってくるし
又、料理を作る料も、味の好みも
メニューのラインナップも
冷蔵庫の中身も、買い物に行く頻度も
刻一刻と変化しています。
そうなると
それまでとは違う発想で料理を考え、
又、新たな気持で料理と向き合う必要が出てくるわけで
昔のレシピは昔のレシピとして
今の私は、今のレシピを考えていかねば。
だって、生まれて初めて50歳になったのですから
ピカピカの50歳初心者としては
謙虚な気持ちで、自分と、家族と、この生活に向き合っていかなくっちゃ。
49歳までのレシピを否定するのとは違って
49歳までとは違う発想で、又新たにチャレンジをはじめる
そんな感じかな。
これから先
体力は落ちていき
料理をやりたくない時も増え
また、食べる量も減ってきたりしたら
作りすぎて食べ残した料理で冷蔵庫がいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。
食材が使い切れずに途方に暮れることもあるかもしれません。
けれど、その一つ一つ、絶対に目を背けないで暮らしていくことで
料理研究家として何ができるのかが
見えてくる気がしています。
お誕生日おめでとう、私。
ピカピカの一年生のスタートです。
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