家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
お正月のお餅で思い浮かぶ映画と言えば
「阿修羅のごとく」
向田邦子原作です。
ストーリーはこうです。
個性豊かな4人姉妹
三女の滝子が、正月明け早々
重大な話があるというので集まるところから話が始まります。
重大な話とは何か。
4人の父親(70歳)が、別のところで所帯を持っているというんです。
いやあ、そんなことは、ないだろうと
あのお父さんが⁉
他の姉妹たちは最初、笑い飛ばすんだけれど
滝子は興信所を使って調べており
証拠の写真も持っている。
70歳になるお父さんの浮気
そうとも知らず、一緒に暮らしているお母さん
親が突然、一組の夫婦としての問題に直面!?
どうしたらいいのか迷う4姉妹なんだけれど
4姉妹たちも、それぞれに男と女の問題を抱えており
それがもう、複雑に入り乱れていくストーリーです。
最初の話し合いをするのが正月の鏡開きの日で、
鏡餅を切るところから始まるんですが
ヒビの入った鏡餅を見て
「これ、何か思い浮かばない?」
「お母さんのかかと⁉」
「なんでお母さんのかかとって、あんなにひび割れてるのかねえ」
「乾燥肌なんじゃない?」
というような、とりとめもない4姉妹の会話が
なんとも言えず秀逸なんです。
で、その鏡餅を一口大に切って、油で揚げ
おかきにしてぼりぼり食べる、食べる、食べる。
そのサクサクという音が、ものすごく美味しそうで心地よく
話の内容は
お父さんの浮気の話なのに
なぜか、おかきをかむ、サクサクという音だけが
妙に平和に響くんです。
森田芳光監督作品なので
物を咀嚼する音が、かなりデフォルメされているのだけれど
物を食べるって、なんか平和だなあって思うんです。
深刻な内容なのに
揚げ餅をぼりぼり食べる音のおかげで
事の深刻さが、それほど深刻に感じない。
いいなあ、うまいなあ。
揚げ餅、めちゃ食べたくなる。
映画の方は、いろいろあって、なんやかんやあって
結局、家族って
なんやかんやで、収まるところに収まるのかな
って思う映画です。
平和です。
お母さんが強くて、優しくて、大きくて、えらい。
こんなお母さんになりたいわ。
めちゃステキです。
向田邦子さんって
他のエッセイにも書かれていることなんだけれど
家長制の強い封建的なお父さんの下で育った人で
その父親像が、ここにも見え隠れするんだけれど
寺内貫太郎一家みたいに
最終的には、お母さんを中心に家族はまとまっていくみたいな感じ。
お母さんは、いろんなことがを全部わかって
全部受け止めて
お父さんも、最終的にはお母さんの思い通りに操られている。
つまるところ
女の方が一枚上なのよ。
向田邦子さんの得意げな顔が思い浮かぶ。
女はみんな、阿修羅である。
それにしても
鏡餅の固くなったやつを
油でカリッと揚げて、塩を振ったの
めちゃめちゃ食べたくなりました。
もうすぐ、鏡開きですねえ。
(2706) 我が家で一番人気の餅レシピ♪あまりに美味しすぎて、毎年食べ過ぎてしまうお餅です。レンジで簡単♪<ごま餅> – YouTube
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