家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
「家庭の医学」で紹介したビタミンCを効率よくとれる料理
ちょっとだけ、補足させてください。
今回の料理で難しかったところは
ビタミンCが料理の過程で失われる量を考慮して料理を考えなければならないことでした。
失われる可能性があるのは
加熱によって失われる分と、水に溶けだす分です。
そうなると、
加熱もせず、水も使わずに調理するのが一番効率よくビタミンCをとれるじゃないかと
いうことになるので
一番効率のいいのはサラダですね。
でも、一食で
生のきゃべつだと
調理の損失がないので、効率はいいのかもしれませんが
これだけのキャベツを食べるのはきついし、
仮に食べられたとして、おなかいっぱいで他のものが食べれない。
それなら、次に損失の少ない炒め物にしたらどうか。
これも、若干カサが減るものの、やっぱりこれだけの量を食べるのはかなりきついですね。
ならば蒸し物や煮物は?
かなりカサは減って食べやすくなりますが、
煮汁や蒸し汁にビタミンCが溶けだしてしまうのでもったいなく
又、煮ものの煮汁を全部ごくごく飲み干すとなると、塩分の問題も出てきます
となると、野菜のカサを減らして、水に溶けだしたビタミンCも無理せず効率よくとれる料理となると、スープがベストということになります。
というわけで、今回は
ビタミンCについての話は、番組の中で詳しく説明されていたので
ここでは、スープをおいしくするためのコツを捕捉させてください。
まずは、キャベツとじゃが芋の豆乳シチュウー。
じゃが芋はビタミンCを多く含んでいるし
じゃが芋のビタミンCはでんぷんで守られているため
調理での損失が少ないのですが
問題は、たくさん食べられないこと。
どうしても、お腹が一杯になってしまいますね。
そこで、今回は、煮崩して、シチューのとろみ代わりに使ったというわけです。
じゃが芋は小さく切るより、薄く切った方が短時間で煮崩れやすくなります。
ただし、薄切りにしたジャガイモをそのまま煮汁の中に入れて加熱すると
じゃがいもどうしがくっついているため、火が通るのに時間がかかるんです。
なので、水に入れたらジャガイモをバラバラにしておくのがポイントです。
そうすることによって、短時間でじゃが芋が柔らかくなります。
それからキャベツはじゃが芋の上で蒸し煮。
じゃが芋が煮汁に使っていないと加熱に時間がかかるし
下にじゃが芋がある方が、あとでつぶしやすいですから。
豆乳は一番最後。
早くから入れると、豆乳が分離してしまうので。
調整豆乳より無調整豆乳の方が大豆のうまみや香りがあって
私は美味しいと思います。
さて、ハムですが
ハムは製造過程でビタミンCが添加されているため
ビタミンC量として加算しました。
こういう添加されたビタミンCは
確かに天然のビタミンCとは違うので
ビタミンC量としてカウントするかどうか
は、意見が分かれるかもしれませんが
サプリメントでビタミンCをとった場合でもビタミンCとしての効果はあるので
今回は、番組サイドにも確認したうえでカウントすることになりました。
次に、ブロッコリーと明太子のおかずスープです。
このスープのポイント、
一つ目は鶏ひき肉でチキンスープをとるところ。
ひき肉と水を入れたら、ふたをして加熱します。
ひき肉はかたまりになっていて大丈夫。
というかむしろ塊になっている方がいいのです。
かたまりのまま加熱することで断面積が少なくなるため
あくが出にくくなります。
けれど鶏のうまみは十分外に出るので
すっきりとした上品なチキンスープが出来上がるというわけです。
ふたをするほうが、短時間で表面に火が通るので、
ふたはした方がいいですね。
かたまりの鶏ひき肉が白く変化したら、ここで初めて木べらで細かくほぐします。
この段階でつぶしても、十分細かくなるので大丈夫です。
二つ目のポイントはブロッコリーを軟らかく煮た後
木べらなどでつぶすところ。
ミキサーにかければ、滑らかなポタージュスープになるのですが
今回は、わざと木べらでつぶして、ブロッコリーの食感を残しました。
柔らかく煮えたブロッコリーの食感がおいしいし
ペースト状にするより、むしろブロッコリーの粒粒が残っている方が
飽きずに、たくさん食べられるし
ひき肉の粒粒感、あとから入れる明太子の粒粒感ともよく合います。
明太子の塩分とうまみでスープの味が決まるのも
簡単でいいですね。
パプリカは生で食べてもおいしい野菜なので
生でサラダにするのが、最も効率のいい食べ方なのですが
逆に加熱してもビタミンCの損失が少ないという特質をいかして
スープにしてみました。
実はパプリカって、加熱すると生とは違うおいしさになるのです。
パプリカは包丁で切らず手でちぎることで、短時間で柔らかくなり
独特のとろりとした食感になります。
炒めてから煮ることで、さらに短時間で柔らかくなるし
この時一緒にケチャップを入れて炒めることで
スープの味がぐっと深くなります。
肉団子の方は、玉ねぎを最初に塩でモミモミし
しんなりさせてからひき肉と混ぜると、うまく混ざります。
みじん切りになった玉ねぎが、ひき肉からこぼれ落ちて
スープの中に混ざりますが、それでいいのです。
そうすれば、こぼれ落ちた方の玉ねぎもまた、
いい感じに具材となって
独特の食感と、おいしさをプラスしてくれます。
熱に弱くて、水に溶けだすビタミンCですが
加熱時間を短くする工夫をし
また、煮汁ごと全部飲んでしまえるスープにすることで
効率よくたっぷりと採ることができます。
よかったら、作ってみてくださいね。
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今日の「日めくりレシピ」は「白菜と豚肉のこんにゃくヌードル鍋」
春はダイエットの季節ですね。