でいりいおくじょのBLOG

2023.08.27

分からないという事を大事にして暮らす

10代から20代の頃

私は父にイラついていました。

 

父は、何を語るにしてもはっきり言わないのです。

 

~である可能性もある

とか

~と言えるかもしれない

とか

 

最後の最後で語尾をあいまいにする。

 

どんな質問に対しても

はっきりとした答えをくれない。

 

これはこうなのかと言っても

上手く言葉をごまかしてしまう。

 

それが、もやもやして、もやもやして

なんで、はっきり言いきってくれないのか

これはこうだと答えを教えてくれないのか

いっつもそれで、父に食って掛かっていました。

 

父の言い分はこうでした

 

世の中に、はっきり言いきれる事はあるんだろうか?

 

父は科学者です。

他の職業ならいざ知らず

科学を専門にやっている人間が、そんなことを言うなんて

って思いました。

 

分からないことを分かるようにするのが科学ではないのか

分からないことを分からないままにしておくなら

いったい、何のために科学があるのか。

 

そもそも、はっきり言いきらないというのは

結論を言うのを恐れているだけで

うやむやにして逃げているだけではないのか

 

私には

結論を言いきらない父が

言い切ることが怖くて、逃げているように見えたのでした。

 

その時、父の言った言葉はこうでした

 

全てをわかることはできない、という事を知ることが科学だ

分からないことがある、という事を分かるのが科学だ。

全てをわからないからこそ

人間は、自分たちの思い通りに世の中を動かすことはできない事を知る。

それが科学だ

 

20代の頃には

それがどうしても理解できませんでした。

 

ところがこの歳になると

あのとき父が言った意味が、ものすごくよくわかる。

 

ホント、その通りだと思う。

 

分からない事が、ものすごく大切で

それを、心の中で温めながら暮らすこと

それが生きるという事だと思う。

 

分からない事があるからこそ

人は人とつながっていたくなり

優しくなれるんだと思う。

 

不完全であることの尊さ。

 

その延長線上に

自分の弱さを受け入れたり

自分を愛するという事があり

 

自分を愛するの先に

誰かを愛するがある

そんな気がしている。

 

2023年8月26日とら

ほんま、それな‥。

コメント

  1. Amy より:

    以前の自分が納得できなかったことがいつの間にかできているんですよね。だから、今わからないことがあっても何時かわかるようになるかも知れない。何でもかんでも白黒付けないと気が済まない自分だったからあっちこっち行き詰まっていたんだ、と今なら解る私です。

    1. 奥薗壽子 より:

      そうなんです。
      若い時に分からなかったことがわかるようになった時
      少しは、人間的に成長したのかなって思えて
      ちょっと安心するというか、よかったって思ってる自分がいます。

  2. るりまつり より:

    深い。今日のお話は深いですね〜
    うんうんと頷きながら読みました。
    わからないことがあるから人とつながっていたい。素敵な言葉ですね。
    人と繋がってこその人生、だと私も思います。

    最近、とあることで専門家2人が対立している対談を聞きました。
    一方は「今の段階ではそれについてははっきり分からない。長期的な経過を見ないとわからない」と言い、

    もう一方は「研究者が、分からないなんて言ってはいけない。それでは一般の人が困る。
    科学的に計算して予測値を発表すべきだ。それは可能なはずだ」と言い、

    対談は決裂したまま終わりました。

    私は、わからないと発言した前者の研究者の方が信頼出来ると思いました。

    1. 奥薗壽子 より:

      人とつながるって大事だなと思います。
      けれど、若い時は、そのつながりを数で考えていたところがある気がして
      今は、深くつながれる人を大事にしたいなと思うようになりました。

  3. ぶんすけ より:

    こんにちは。
    深いお話です。
    先生のブログ、折に触れて深く考えるものが多くなったのは、やはり既出のエッセイ講座の影響なのでしょうか。
    その恩恵に、読者のわたしも預かっています。
    いつも、さまざまな気づきをありがとうございます。

    パプリカの漬物とゴーヤーベーコンきんぴら、作りました。今日食べます。楽しみ〜

    1. 奥薗壽子 より:

      いえいえ、エッセイ講座は完全に落ちこぼれておりまして
      全6回、最後まで出席することが目標という、情けない状況です。
      私のレシピ、いろいろ作って下さってありがとうございます。
      エッセイ教室で喪失している自信を
      こうやって、皆さんのコメントで慰めて頂いております。
      感謝感謝。

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「送信」ボタンを押してください。

PageTop