でいりいおくじょのBLOG

2023.09.20

料理研究家として、やるべき事は・・。

エッセイ教室がラスト1回になり

継続するかどうかの、お尋ねメールが来ました。

 

そこで、結論を出す前に

 

そもそも、どうしてエッセイ教室に通う事にしたのか

そもそも、なぜ文章を書きたいのか

 

もう一度、その辺を考えてみることにしました。

 

文章を書く理由の、大元をたどっていけば

やっぱり、どうしても料理に行きつくんです。

 

料理研究家になってかれこれ30数年。

 

最初は、必死でレシピを考えて

まるでレシピ製造マシーンみたいになっていた時期もありました。

本もたくさん作らせてもらいました。

 

けれど、

レシピで伝えられることって、ごくごく限られていて

料理を伝えるのに、レシピだけじゃだめだという事は

割と早い時期に気づいていました。

 

写真やスタイリングで伝わることもあるけれど

それでも、やっぱりそれは料理の一部でしかないような気がして

 

料理を伝えるためには言葉の力が必要だと思ったんです。

 

以来、料理本の中の文章は、ほぼ自分で書くようになりました。

 

普通、料理に添える文章って

編集者の方や、ライターさんが書かれることが多いんです

料理に添える説明や、ちょっとしたコピーや

あるいは、補足説明など

私の料理本は、自分の言葉で書きたいと思ったのです。

 

そうやって、

どこまでも丁寧に描くことをやってきたのですが

 

どこまで書いても料理の本質には届かない気がして

それが何なのか、どんどんわからなくなって

 

そのうち

料理本の世界も、大きく変化し始めました。

 

というのも、

料理動画というものが世の中に出始めて

レシピ本も、それに対抗する形で動画の手法を取り入れるようになってきました。

(臨場感のあるプロセス写真を入れたり、コマ送りでプロセス写真を入れてみたり)

 

動画が出てきたことで

文字で書いた料理の説明がすごくまどろっこしく見えるようになり

説明を入れすぎると、時代遅れな感じにさえなってきたのです。

 

そりゃそうですよね

 

文章で読むより、見たほうが早いし

言葉で伝えたほうがわかり易い。

 

ここで私自身

大きな選択を突き付けられます。

 

料理本の世界で頑張るか

動画の世界でやってみるか。

 

どっちか一つじゃなくて、

両方やればいいようなものですが

 

紙の媒体と動画では、レシピの発想の仕方がまったく違うので

両方は無理だと思いました。

 

こうして、私は、動画を選び

Youtubeを始めたというわけです。

 

大きな決断でしたが、

動画の世界で新しい可能性をたくさん感じさせてもらうことができています。

 

紙の媒体では伝えきれなかったたくさんのことを

動画という媒体で、たくさん伝えさせてもらうことができるようになりました。

 

とても面白いし、まだまだ探求したいことはたくさんあります。

 

けれど、その一方で

やっぱり、文字で書いた言葉でしか伝えられない事があるという事も

すごく感じるようにもなりました。

 

動画で伝えられることがある

でも動画では、伝えらきれない事がある

 

それを言葉で、文章で伝えたい

そう思うようになったのです。

 

やっぱり、両方ないとだめなのです。

 

けれど、それを書くためには

以前と同じではだめで、私がもっと成長する必要があります。

 

もっと深いところに降りていく思考力と

それをすくいあげられるだけの力がないとだめで

今のままでは、到底だめだという事は、明らかです。

 

だからこそ、エッセイ教室に通うことにしたのでした。

 

文章力をつけるというよりは

深く考え、本質もきちんと見定められるようになりたい

そのための教室なのです。

 

この教室で学ばせてもらっていることは、本当にたくさんあります。

 

深く考える事

これは、ずいぶんできるようになりました。

 

ただ、それを自分の中で消化して、

自分の中の深いところに落とし込んで、

もう一度、自分の言葉として取り出す作業が、まだまだ上手くできません。

 

家庭料理の中にある普遍的なものについて

自分の言葉で書けるようになりたい

そう思っています。

 

自分の深いところから出た言葉で書いた本を

家庭料理の集大成として書いてみたい

 

そんなことを思っています。

まだ志、半ば

まだまだ学ぶことは多々あります。

 

さて、ここまで考えて

文章教室を続けるべきか。

 

続けたほうがいいんだろうな。

 

ここが正念場。

2023年9月20日トラ

コメント

  1. 洋子 より:

    先生こんばんは。
    先生のブログを拝見するようになって、私も若松英輔先生の本を読むようになりました。
    今日読んだのは「はじめての利他学」です。
    アラン先生やシモちゃんも出てきて、「お~」と思いました。
    読んでみて、言葉や物事を深く深く考えること、そしてそれを自分の言葉に翻訳して、行いに落とし込むことが出来なければならないんだなと思いました。
    だから、先生の苦しみや目指していることがすごく伝わりました。
    奥薗先生の志は、この本に出てくる最澄が自らの悲願を言葉にした「願文」のようです。
    先生の志、応援しています!

    1. 奥薗壽子 より:

      優しいコメントありがとうございます。
      若松先生の本、読んでくださったのですね。
      若松先生ファンとしては、めちゃうれしいです。
      「はじめての利他学」
      NHK出版のやつですね。私も読みました。
      先生の本は、その時々で、心に刺さる言葉があります。
      言葉に助けてもらいながら、私も少しずつ前に進んでいます。
      これからもよろしくです。

  2. sara より:

    先生、こんばんは。

    先生にとっての文章とお料理 私は別のことだと思っていたけれど つながっていたんですね。
    私も若いか、終点かといえば 終点の方に近いのに わたしはそういうことあまり考えられていないなと思いました。
    私には何かを残したいだれかもいなくて…
    飼っているお魚と、育てている植物が真剣に心配…

    お料理ノート、私の宝物です。先生のレシピを 自分が料理するときにわかりやすいように書き写してきたノート。
    たぶん、火災や天災(不謹慎ですけど万一)で逃げなくてはならなくても持っていきます!

    先生が落ち込む様は私はかなしいけど それが先生の目指すところなら応援します☆

    私が思う素敵な文章は、いろんなひとにわかりやすい文章だと思っています…

    1. 奥薗壽子 より:

      優しいコメント、ありがとうございます。
      時々、落ち込んだりして、ご心配をおかけしてごめんなさい。
      なかなか、思うようにはできないのが人生ですね。
      頑張ろうという気持ちと、実際頑張れるか、実際できるのか
      というのは、正直違っていたりします。
      でもまあ、結果はともかく、頑張れるところまでは頑張ろうかなと思っているところです。
      教室の方は、続けるかどうか、いまだ悩み中です。

  3. まゆみん より:

    先生の文章の中で心に残った文章が、あります。それは
    家庭料理の中にある普遍的なものについて
    自分の言葉で書けるようになりたい。
    です。
    このお考えに貫かれているから、先生のレシピは、毎日の食生活を良くしたいと思う私にとって、なくてはならないものなんだとわかりました。
    料理動画や、料理番組って世の中に溢れていますよね。
    食べたいものを食べたいだけたべていれば、病気になる。
    だからといって、体に良いだけでは、幸せではない。
    私は、年齢を重ねて、ご飯、おかず、汁物の昔ながらの食生活が、一番と思うようになりました。
    奥薗先生の料理は、そのおかずにピッタリといつも思います。
    シンプルでアレンジしやすいし、調味料がほぼ同じだし、使う食材や、調理法が、体にいい。
    もちろん美味しい😋
    先生の家庭料理最高です😀

    1. 奥薗壽子 より:

      うれしいコメントありがとうございます。
      そうなんです、漠然と、何かをつかみかかっている感じはあるんです。
      でも、それを言葉にしようとすると、途端に雲をつかむような感じになってしまい
      まだまだ修行が足りないなと思っているところです。
      でも、進むべき方向は、間違っていないと、コメントを読んで思えました。
      ありがとうございました。

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