でいりいおくじょのBLOG

2025.01.19

「志村ふくみ100歳記念」特別展に行ってきました

昨日のリルケの続きを書こうと思ったんだけれど

「志村ふくみ100歳記念 特別展」に行ったので

その話を。

 

この特別展、行こう行こうと思いつつ、なかなか行けず

ハッと、気づいたら、会期が明日まで!!

これは、もう行くしかない!!

 

志村ふくみ先生と言えば

染色家であり、随筆家であり

重要無形文化財保持者、人間国宝という、すごい方。

 

実は私、若い頃に

志村ふくみ先生のお弟子さんに草木染めを習ったことがあるんですよね。

(京都の北区の先の方にある工房でした)

 

その時は、桜の枝でスカーフを染めて

それはそれは、素晴らしく美しいピンク色のスカーフができ

(桜でも、梅でも、色を作るのは花ではなく、花が咲く前の枝なんです)

 

それから、しばらく野菜染めにハマって

玉ネギとか、果物の皮とか

そんなものでハンカチを染めて、それで人形を作ったりして

遊んでいました。

 

その当時から、

志村ふくみ先生と言えば、染色家の第一人者でしたから

いやあ、あれからの時間を思うと、先生のご活躍は素晴らしく

 

今回、その草木染のお着物をまじかに見れるなんて

ものすごく感激です。

 

正直、こんな間近で作品を拝見させていただくのは、初めてで

絹糸の下処理の違いによって

光沢とか、表面の感じとかが全く違うという事を、

まじかに見ることができ、感激しました。

 

この展示会では、たくさんの着物を見ることができるので

それぞれに、素晴らしく、感じること思うこと、いろいろあったのですが

 

一番心に残った着物はと言うと

やはり、一番最初に作られた作品「秋霞」です。

 

どの置物も、素晴らしいのですが

この「秋霞」は、

素晴らしいとか、そういうのとは違う何か深いものを有している感じがしました。

 

見ているだけで、グーッと迫ってくるものがある。

 

最初見た時に、藍色のお着物で「秋霞」というタイトルが

ちょっと違和感があり

なんで?って思ったんですよ。

 

秋霞っていうと、なんか紅葉、みたいな色を想像してしまうので。

 

なんで藍色なんだろう?って思いながら

かなり長い間、そのお着物を見ていたのですが

突然、あっ!て思ったんです。

 

これは晩秋の夜空なのでは?

 

冬が来る前の、空気が澄み切った空

スコーンと抜けるように高い高い空に

星が瞬いて、その星たちが、遠くの方で幻想的に瞬いている感じ

まさに秋霞。

 

更に、先生は近江八幡のお生まれなので

その空に瞬く星が、

琵琶湖に映っているかのようにも見えました。

 

高い高い空の上で、幻想的に輝く星と

その光を受けて、キラキラと光る水面に星が映っている。

そしてそれが、幻想的な世界を作っている。

いや、これは勝手な想像です。

 

けれど

そう思って、しばらく見とれていると

 

そこに、先生の運命も映り込んでいるように思えてきて。

 

先生のお母様がやられていた草木染との出会い

ご自分の人生がそこに向かっていく不思議

その人生が、なんともキラキラしていて

運命としか言いようのない強い力がそこに動いているような気がして

 

上手く言えないのですが

先生のこれまでのこと、これから先のことが

ここにすべて織り込まれているような、そんな感じがしました

まだ見ぬ未来に、微かな予感

見えないのに、透き通っていて

自分がそこの中にすっぽりと包まれているような。

 

先生は初めての作品となる、この「秋霞」で賞をとられるのですが

その時、先生のお母様が

これから先、これ以上のものは作れないだろう

というようなことをおっしゃったそう。

 

確かに、全ての展示を見終わった後

もう一度ゆっくりと、この「秋霞」を拝見したのですが

100歳記念に作られた一連の作品と並んでも

やっぱり何ら遜色がない。

一番最初に作られた作品には、まったく見えません。

 

やはり、この「秋霞」は、何か大きな力が先生を動かした作らせた

としか言いようのない作品なのかなと思いました。

 

この展示会

会期は、1月19日まで

場所は、大倉集古館(東京・虎ノ門)です。

 

本当に、おすすめです。

 

2025年1月18日志村ふくみ

コメント

  1. フィンチラブ より:

    こんばんは ここ最近 家族一員の小鳥の体調で病院に行ったりしてて 心配で慌ただしくしてました。鳥は小さいけど感情豊かで賢いですよ。やはり動物は可愛くて仕方ないです。

    このお着物は、また、おしゃれな色合いで素敵ですね
    帯留めや 帯締め等々で色々なおしゃれ出来ますねぇ

    実は、長年 この着物を【手縫いで】縫ってましたが時代と共に着物離れと海外へ縫製に出すと言うことで仕事が減りすぎて 辞めました。
    昔は、和裁で生活出来るくらいだったのに 時代に乗れず職人としての修行期間が長く辛いだけの青春時代でした。

    着物はお手入れも大変だし 身動きも取りにくいのもありますもんねぇ 
     見るだけになりました。
    日本の文化無くなりつつありますねぇ…😭

    1. 奥薗壽子 より:

      和裁をやられるのですね。ステキですねえ。
      私は、洋裁は昔好きで、ワンピースとか、スカートとか作っていたことがあるんですが
      和裁は、やったことがないんですよね。
      やってみたら、楽しいだろうなって思います。
      お着物を着ておられる方を見ると、良いなあ~~~って思います。

  2. 大阪市のまぁちゃん より:

    こんばんは😃🌃毎日バタバタしてなかなか奥薗先生にラブレター😍💌✨が書けません😭😭😭また絶対ラブレター😍💌✨書きますね♥️

    1. 奥薗壽子 より:

      まぁちゃん、まずはお仕事頑張って。
      せっかくいい会社に就職できたんだから、そこでみんなに、まぁちゃんのいいところを見せないと。
      しっかり食べて、しっかり休んで、息子にも、しっかりご飯食べてもらって
      私は、めちゃめちゃ気が長いので、いつまでも待ってるから、大丈夫。
      体に気を付けて、がんばって。ゆっくりお風呂も使って、ちゃんと寝てや。

  3. ママデューク より:

    草木染め。染め物とか興味が無いので全く知りませんでした。
    写真の「秋霞」も素朴な色合いで良いなぁくらいにしか感じられませんでした。
    でも奥薗姐さんの説明を読んで、どんな事も極めれば奥が深いんだなぁと感じました
    草木染めや志村ふくみさんの事を知れて良かったです😃ありがとうございます🙏
    それでは失礼致します🙇‍♂️足立区一のお調子者f@

    1. 奥薗壽子 より:

      結局、絹織物って、お蚕の口から出る糸で織るわけで
      その糸を、植物の色素で染めるのが草木染だから
      なんか、本当に、命がそこに宿っているって感じなんですよ。
      写真で見るのとは、全然違う、聖なる感じがしましたよ。

  4. Amy より:

    丹後で織られた反物を染めて貰うのに京都市内の染物屋さんに持って行ったことがあります。その後、抜き紋を入れて貰うのに地元の洗染屋さんにお願いして、それから仕立ててもらってと、今思えば贅沢なことをしていたものです(笑)。今後の人生で着物を着ることはもうないと思います。でも、着物、素敵ですよね。関東の人と関西の人では着付が異なりますよね。関東は直線の美で関西は曲線の美というのが一般の人の着物の着方にも表れているのが面白いと思っていました。染と織、豊かな時間を過ごされた先生が羨ましいです。

    1. 奥薗壽子 より:

      おお~~~~っ、なんとも贅沢ですねえ。
      でも、私が生まれ育った京都の中京区というところは
      手描き友禅を描いているおうち、反物を扱っているおうちが、ごくごく身近にあって
      西陣もすぐそばだったので、京友禅、西陣織は、暮らしの中にありました。
      今思えば、なんとも豊かな時間の中にいたのだなあと思います。

  5. 大阪市のまぁちゃん より:

    奥薗先生ありがとうございます😆💕✨書きたい事いっぱいあるのにー😭😭😭また時間がある時にラブレター😍💌✨書きます

    1. 奥薗壽子 より:

      まぁちゃん。ありがとうネ。
      ラブレター、いつでも待ってるよ。
      体に気を付けて、お仕事頑張って!!

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