家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
去年の暮れ、京都市内をイノシシが駆け回り
最終的に二条城のお堀に落ちて息絶えた
というニュースがありました。
こんな観光地にイノシシ!?
いやいや、京都って山に囲まれた小さな町なので
ちょっと東の方とか北の方に行けば、普通にいるんですよね。
そう言えば高校時代
鹿ケ谷(鹿ケ谷の陰謀と鹿ケ谷かぼちゃで有名な、あの鹿ケ谷です)に住んでいる友人が
「裏庭の窓を開けたらイノシシと目があった」
というようなことを言っていたなあ、というのをふと思い出し
早速、その友人に「京都市内をイノシシが走り回ったらしいなあ」
とLINEをした私。
そうしたら「イノシシ食べられるで」
という返事が返ってきた。
おおーっ、イノシシ鍋!!
食べたいわあ~。
ところが年末年始は忙しく、イノシシを食べるためだけに京都に行く時間はなく
行きたい、食べたいと思いつつ悶々と過ごしていたら
ここへきて
「熊も食べられるで」というライン。
これはもう、行くしかない!!
人もイノシシもクマも、体に脂を蓄えて極上の美味しさになる。
この時期を逃せば、最高のおいしさを味わうのは一年後になってしまう。
これはもう、行くしかない!
ということで
その友人家族と一緒にジビエ料理を食べに行ってきました。
そこのお店は
いろいろ面白いものがあって
イノシシ、クマ、馬、イノブタ
エゾシカも入荷しているとのこと
イノシシも食べたいけど、クマも興味ある―
どうしよう、どうしよう、ええーい、全部少しずつ食べよう!
ということになって、一通り、全部食べることに。
まずは、イノブタのバーベキュー
イノブタというのは、その名の通りイノシシと豚肉を交配したもので
イノシシ鍋に行く前の、予行練習としてはもってこい。
バーベキューというメニューですが
薄切り肉を何層にも巻き付けて焼いてあるので
ものすごく柔らかくてジューシーです。
味は、コクや旨みがありますが予想していた臭みは全くなく
上等の黒豚を食べているようなおいしさでした
こうなると、イノシシやクマへの期待も、いや高まる。
次は熊鍋。
味噌味のスープにえのき、ネギ、白菜などの野菜と
薄切りの熊肉がたっぷり入っています。
熊はさすがに、脂身が多いですね。
実は私、豚足のような油のぷりぷりがちょっと苦手で
熊の脂身はどうだろうと思い、ちょっとドキドキ。
恐る恐る口に入れてみると
意外や意外、見た目とは違って、めちゃめちゃさっぱりです。
たぶん、このお店の下処理や、調理が上手だったのだと思いますが
先ほどのイノブタよりも、あっさり品のいい味です。
もちろん臭みもなく、やわらかい!!
間に馬肉のルイベを挟んで
いよいよ、イノシシ鍋!!
熊鍋とほぼ同じ味噌味のスープに、野菜もほぼ同じ。
しかしながら、入っているのは薄切りにしたイノシシなのだ!!
赤身です。ロースです。
見た目は、ちょっと固そうですが、口に入れたらびっくり、びっくり柔らか~い
しかも、味が濃い、旨みとコクがたっぷり。
熊よりも、豚肉よりも、イノシシの方が旨みが強いですね。
昔マタギの方の暮らしを追ったドキュメンタリー番組を見たことがあるのですが
自分たちの仕留めたイノシシを鍋にして、皆で食べておられるシーンを思い出すに
イノシシの臭みを消すのに、味噌も生姜もたっぷり入れて濃いめのこってりとした味付けというイメージだったのですが
このイノシシ鍋は全く違う
豚汁よりももっと品のいい味で、とにかくイノシシの肉がおいしい。
最後は、エゾシカの塩焼き
さすがにこれは、固いだろうと覚悟していたら
これも、めちゃめちゃ柔らかく、一切臭みがない。
以前、北海道で増えすぎて害獣と化したエゾシカを
猟師の人たちが手分けして打ち、それを何とか美味しく食べようと
北海道のホテルのシェフが頑張っておられるところにお邪魔したことがありました
その時伺った話を思い出すに、
エゾシカの中でもいわゆるフェレという割れる柔らかい部分はあるのだけれど、それはほんの少しで
基本は脂肪が少なく硬いので、カレーとかシチューとか煮込み料理にするしかない
みたいな話だったと思います。
なので、この鹿の柔らかさと、焼いて塩コショウだけでめちゃめちゃおいしいしか肉
本当に衝撃的でした。
そういえば野生の動物をしとめる時に、急所を一発で仕留めたのと
仕留め方がへたくそだったり、罠で捕まえて暴れさせたりしたのとでは
全然、おいしさが違っていて
やはり一発で仕留めたものは臭みが出ないというのも、
ジビエに詳しい友人に聞いたことがあります。
そういう意味では、今回食べたジビエはどれもこれも柔らかくて臭みがなくておいしくて
それが本当に衝撃的で感動、感動、感動。
すごい、すごすぎる。
連れて行ってくれた友人家族に本当に感謝です。
本当にぜーんぶおいしかった~。
コメント
先生、おはようございます。
ジビエオンパレードですね?。
滅多にないことにので、一通り全部ー❕ってなりますよね。
囲炉裏ですか?。
網の感じとか、雰囲気からジビエ料理にはいっていけそうですね。
当地も、ジビエ料理には力を入れています。
野生の駆除のための意味合いが大きいと思います。
カレーとかジャーキーなどの加工品にもなっています。
手を変え品を変え、まだまだ研究の余地があるのでしょうね。
先生の行かれたお店のは、どれもハイレベルですね。
ちゃんと処理されて、最大限美味しく提供されているのですね。
ジビエを食べると、スーパーで買ってくる肉を食べるより、何だか体が元気になる気がしませんか?。
血湧き、肉踊る……みたいな。
不思議だけれど、やっぱり野生で野山を駆け回っていたものの力なんですかね。
料理をするという、人間だけに与えられた能力って凄いんだなぁ。
あらためて、食材に敬意を表したいと感じました。
先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。
ジビエは、野生のエネルギーみたいなのをもらえますね。