家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今日新聞で、濃縮つゆの消費が低迷しているというニュースを読みました。
それによると、料理に手をかけない世帯が増え
つゆでさえ使うのが面倒という傾向があるのだそう。
こういう記事を読むと、時代の移り変わりを感じますねえ。
もうずいぶん前になりますが
濃縮つゆがものすごく普及し始めた頃
テレビや雑誌のレシピでも、麺類だけでなく、煮物でも、あえもので
およそだしを使うようなレシピに、やたら麺つゆが使われていた時代があったんです。
私はというと。
その、めんつゆ全盛期の頃でさえ
キッチンはさみで切った昆布とかつお節(そのまま引き上げない)を旨みのベースに使うやり方で通していました。
別にめんつゆを否定するつもりはなかったのですが
昆布やかつお節を使うことが、私にとって全くめんどくさくなかったし
むしろ、こしたり、引き上げたりしないこのやり方が楽ちんだったのです。
ところが、その当時ある料理番組の仕事で
いつものように、水、昆布、しょうゆ、みりん、かつお節
っていう風にレシピを書いたら
これではめんどくさそうに見えてしまうので
水、麺つゆというレシピに変えてほしい
という風に言われたことがありました。
正直戸惑いました。
昆布もかつお節も引き上げないでそのまま食べる、私のやり方は
全ての材料を入れるだけで、麺つゆを入れるのとほとんど手間は変わらないのに
レシピの行数が多くなると難しそうに見えるからというだけで
変更をお願いされたわけですから。
あの時は、かなりショックでしたが
結局は、変更せずに自分のやり方を通しました。
私は、料理に正解も間違いもないと思っているので
私のやり方がめんどくさいと思う方は麺つゆを使えばいいし
こっちの方が、口に合うと思ってくださるなら、やっていただけたら嬉しいとおもったのです。
ところが、今日の新聞によれば
そのめんつゆを使ったレシピでさえ、めんどくさいという世帯が増えているってことなんでしょうか。
時代がまた一つ変化していますね。
家庭料理のレシピも、4人分から2人分に変わり、
今は一人分のレシピも多くなりました。
だしを使ったレシピが、麺つゆを使ったレシピにとってかわられ
やがて、その麺つゆも使われなくなっていく。
だからね、やっぱりあの時、自分の料理のやり方を大事にしてよかったのかなって思います
その、時代の流れから目をそらさず
本質は変えずに、時代に合ったレシピを考えること
私がおいしいと思う事
私自信が繰り返し作りたいと思え、繰り返し食べたくなること
そこにあるエッセンスを、大切に大切に、見失わないようにしなくちゃと改めて思いました。
私らしくです。
コメント
先生、おはようございます。
“ぶれない”っていうのも、なかなか勇気のいることですね。
先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。