家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
何か面白い本はないか、本を物色していたら
山極先生と小川洋子さんの対談集を発見!!!
山極先生といえば、京都大学の総長で、霊長類研究の第一人者。
これまでゴリラに関する本を何冊も読んで
大大大大好きな方です。
一方、小川洋子さんといえば「博士の愛した数式」等々でおなじみの作家。
私は、「妊娠カレンダー」(芥川賞)から、ずーっとファンで
やっぱり大大大大好きな方。
というわけで、大大大大好きな方同士が対談されているわけですから
これはもう、夢の対談です。
さっそく読んでみました。
「ゴリラの森、言葉の海」
山極先生のゴリラの話は
今の暮らしの中で、失いつつあるものや、大切にしないといけないことを再確認させてもらえました。
例えば、家族という形態についての話。
チンパンジーは家族というものはなく、群れを作っているだけ
ゴリラは家族のような小さな群れを作っているけれど、あくまで単体です。
人間は、家族を作って、その家族どうして地域集団を作っていて
しかも、家族の男女が、別々の集団にも属し、その中でいろんな関係性を作っています。
当たり前だと思ってきたけれど
確かに、人間は、家族という集団の外で、いろんな集団にも属していて
器用に、関係性を使い分けて、それぞれ集団の一員となっていますね。
当たり前に、違う人間性(社会性というのかな?)を使わけていますが
考えてみたら、人間すごい!!
また、自分の利益を無視して、誰かにつくすことができるのも、人間だけが持つ特性です。。
夫婦や子供のためだけでなく、まったく他人のためにも何かをしてあげられる。
それは、人間の知能が発達したから、そういうことができるようになったからではなく
それこそが愛なんだと、山極先生がおっしゃったのには、なるほどなあと思いました。
愛とは、自分の時間を相手に与えることによって作られる
この言葉が、すごく印象的でした。
確かに、子育てをしていたとき
子供というのは、自分の時間を食べて大きくなると、ずーっと思っていました
考えてみたら、
子供に一生懸命与えたものは、お金で買える物ではなく、食べ物と時間だったように思います。
食べ物を与えることで、親子とか、家族とかという関係性ができ
自分の時間を与えることで、少しずつ、なにか言葉にならない感覚が作られていきました。
その感覚が愛という事なんですね。
それから、もう一つ興味深い話がありました。
サルの餌付けの話なんですけれど
サルの餌付けをするときに、大量のえさを一か所にまとめて地上に置くのが良くないそうなんです。
地上に置くと、身体が大きいサルが一番有利で、えさを独占してしまう。
でも、枝が茂っているような森の中だと、体の小さいサルにもちゃんと餌を得るチャンスがある。
なぜなら、からだが小さいサルの方が、枝から枝に飛び移れたり、細い枝にも素早く登れたりするから。
森の中では、えさを得る機会は体の大きさとは関係なく
むしろ小さい方が有利な場合もある。
ところが人間社会では、
地上に一か所に、大量のえさを集めているようなことが起こっている。
からだが大きくて、力のあるものだけが、えさを有利に手に入れ。
弱くて小さなものは、声を上げることもできないようなことが、実際に起こっている。。
からだの大きさや、優劣の違うものが、それぞれ自分のやり方で生きられること
効率とか便利さだけが優先されるのではなく
一見不自由に見えるが、様々なものが共存している社会
そういうところにある豊かさについて、考えさせられました。
本当に、いろんなことを考えさせられるお話が盛りだくさんで
私の言葉で伝えられないのが、もどかしいです。
ゴリラの世界も、人間の言葉の世界も
本当に、奥が深くて、面白いなあと思える本でした。
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