家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
先日、ドラマ「ローマ」を見た話を書いたら
「テルマエロマエ」をすすめられ
以前見たことがあるんだけれど、もう一度見てみることにしました。
「テルマエロマエ」
ヤマザキマリさんの代表作を映画化した作品です。
浴場設計技師のルシウスが
浴場設計のアイデアに行き詰まると、なぜか排水溝に吸い込まれて
現代の日本のお風呂にワープしてしまい
そこで見たものをヒントに、斬新なお風呂をローマに作っていく、という話。
以前見たときは、漫画原作の映画という事で
ただただ、楽しく面白く見ただけだったんだけれど
今回、ヤマザキマリさんの生い立ちを読んだり
ローマの予備知識をちょっと頭に入れたりしたので
なんか、以前とは全然違う印象で見ることができ
いやあ、感動しました。
どこに感動したかというと
ネタバレになるので、詳しくはかけないのですが
ローマにワープした、温泉場のおじいちゃんたちが
何が起こっているのか理解できないまま
それでも、一生懸命温泉を作るところ。
それを見た阿部寛演じるルシウスが
この人たちは、お金とか、名誉とか、権力とか
そういうものとは一切関係ないのに
なぜ、これほど一生懸命になれるのか
と不思議に思うんです。
でもね、一生懸命無欲で働くおじいちゃんたちに
ルシウス自身が、元気をもらう。
ここは、なんかいいシーンでしたねえ。
そうなんですよ。
別に、何にも得にならなくても
自分が持っている何かが、誰かのためになるのならそれでいいと思える事
そういう、無欲なところが
日本人の性質の、奥深いところにはある気がして
そのことが、なんか誇らしいというか、心癒されたというか
そして、それを見た上戸彩演じる真美も
確かな結果が約束されていなくても
がむしゃらに生きる事に、意味があると気づき
未来に、何の保証もないけれど
もがいてみることを決心するんです。
それは、たぶん、単身イタリアに行って、先の見えない不安の中で
必死でもがいて生きてきたヤマザキさん自身の、心の叫びなんだろうなあって思いました。
ローマの長い長い歴史を見ると
権力や富のために、殺し合い、だまし合い
けれど、その一方で、がむしゃらにもがいて生きてきた人たちがいて
その長い歴史を俯瞰で見渡すと
結局みんな、になり寄ったりで
一言でいえば
みんな、生きるためにもがいてもがいて、生きるために必死で日々過ごしてきたわけです。
そう思うと、人間の生き方としては
もがいてもがいて、必死生きることこそが、
一番人間らしく、まっとうな生き方なんじゃないかと思えてくるんです。
未来が約束された人なんて、誰もいないんだもの。
もがいてもがいて、そうやってつかみ取った何か
それが、自分の生きた答えなんですよね
これが、テルマエロマエに込められた思いであり
ヤマザキさん自身の生きざまなんだなあって思います。
そう思ったら
自分も、まだまだ、もがいてもがいて、
もがきまくって生きてみようって思えました。
映画でも、本でも、出合うべきタイミングがありますね。
今回、この映画を勧めもらえたこともまた、一つの出会いでした。
感謝。
コメント
アマゾンプライムで基本料金だけで観れたので「テルマエロマエ」観てみました。
彫りの深い阿部寛さん達をローマ人に見立てるとか日本のお風呂文化に古代ローマ人が驚くといったコミカルさも良かったですが、戦場に、傷ついた兵士達の傷を治す温泉場を作るという後半のシリアスな展開も良かったです。銭湯や温泉の味のあるおじいちゃん達、ウォシュレットに感激して涙を流す古代ローマ人。ボク的に特に印象に残りました。それでは失礼致します。f@
漫画が原作なので、間違いなく面白いんだけれど
なんか、やっぱりぐっとくるところもあって、いい話でしたね。
おじいちゃんたちが、なんか妙に心にしみました。