家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
連休は、読書三昧です。
まとまった時間があるので
長編小説を読もうかとも思ったのですが
池上先生の本で、自分に足りないものを補うことにしました。
「おとなの教養」「おとなの教養2」(池上彰著 NHK出版新書)
大学の1~2年の時に
一般教養というのがあって(今はないらしい)
専門とは全く違うことを学ばなければならなかったんだけれど
あの当時、一体あの授業が何のためにあるのか、さっぱりわからず
最初だけ出席して、こっそり教室を抜け出したり
代返を頼んだり
最終的には先生にお手紙を書いて、お情けで単位をもらったりしていました。
あの頃、教養っていったい何なのか
そもそも必要なのかさえ分かっていませんでした。
今思えばもったいないことをしたなあ。
実は「おとなの教養」1の方は、前に一度読んでいたのですが
池上先生が書かられていることが
以前よりも、スーッと心にしみてきたので
少しは成長したのかなあ、って思ったりしました。
そして、この本の最初に書かれている事
なぜ、こういう本が必要なのかという部分は、本当にそうだなと思いました。
そもそも、池上先生が、なぜこのような本を書かれたかという事が最初に書かれていて
あの当時、東日本大震災の報道やら、テレビ中継やらで
専門家の先生が離される話があまりにも専門すぎて、多くの人に理解できず
本当は、もう少しかみ砕いて話をしてほしいのに
解説自体がわからないから、逆に不安をあおる結果になったことに対して
それではいけないと思われてのでした。
それまで、日本の教育というのは
文系は文系、理系は理系
専門は専門、それ以外のところに一般教養がある
というような構造になっていましたが
本当は、こういう分類をしない方がいいのではないかという事を
早くから池上先生は提唱されていて
それで、この本を書かれた当時、東京工業大学のリベラルアーツセンターというところで
リベラルアーツ(現代の教養)を教えることにされたのです。
なんでも、早く簡単にというのが流行りみたいになっていて
最小限の努力で、手っ取り早く到達できる方法を教えてくれるものが人気ですが
本当は、その途中の回り道のところにこそ
大事な真実があるというのは、大人になるとわかってきます。
すぐに役に立たない知識を、たくさん持っていることが
本当は、とっても大事ですね。
新しい発見やヒラメキは、きっと、そういう一見何の役にも立たないような知識の集積の中から生まれてきたりするはずだからです。
この本は、人として生きていくうえで知っておくべき教養を
わかりやすく解説してくださっています。
別に知っていないからと言って、生きていけないわけではないけれど
知っていることで、人間社会の偏見や束縛から逃れるようになり
また、自由な発想や思想を展開できるというような、基礎的な教養です
1の方は、宗教や宇宙や歴史といった、自分たちはどこから来たのかを考えさせてくれるテーマで
2の方は、もう少し今の時代をみつめる内容になっていて
AIや民族紛争、ポピュリズムなどを解説してくださっています。
特にポピュリズムのところは、すごく興味深く
政治や世論だけの事ではなく、いろんなところで、この手法が使われていて
気づかないうちに、その波にのまれている危険を感じました。
本当の教養というのは、自分を支える基盤になる
という先生の言葉は、本当にうなづけます。
そういう教養を身につけて
自分の頭で考えられる人でありたいと、切に思いました。
本当に面白かったです。
おすすめです。
コメント
毎日楽しみに拝見しております。
レシピもさることがながら
奥園先生の温かな等身大の文章に惹かれています
この本早速読んでみます、いつもありがとうございます(^▽^)/
自分に足りないものがわかってきて、それを少しずつ補っていくことがうれしく、
知らないことを知ることが、昔よりも楽しくなってきています。
この年になって、こんな言い方もおかしいですが、少し大人になったのかもしれません。
この本、是非是非読んでみてください。池上先生の解説はすごーくわかりやすいです。