家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
テレビ朝日の「題名のない音楽会」の司会が
佐渡裕さんから五嶋龍さんに代わりましたね。
佐渡さんもとっても大好きだったのですが
五嶋龍さんになって、なんだか新しい風がふあーっと吹いてきた感じで
番組を見るのがますます楽しみになってきます。
五嶋龍さんといえば、
ご存知の通り五嶋みどりさんの弟君です。
実は、私五嶋みどりさんは最も尊敬し、あこがれている人の一人でして
と言っても、ヴァイオリンのことや音楽のことは、そんなに詳しくないんですけど
五嶋みどりさんの本とか、
ちょっと前に放送になった“プロフェッショナル”という番組などを見せていただくにつけ
その生き方や考え方、人間性に、ただただ魅かれているのです。
みどりさんに比べ、龍さんは自由奔放で
みどりさんが必死にもがいて苦しんでしか破ることのできなかった壁も
飄々との乗り越えられたようなところがあって
みどりさんとは、また違った意味で人間的魅力があふれている方ですね。
今回の「題名のない音楽会」のコンセプトに「伝統のアップデート」を打ち出されたのも
なんだか龍さんらしいというか
龍さんがどんなふうに、これからアップデートされてるのかワクワクしてしまいます。
“伝統のアップデート”
これは、家庭料理においても、私自身がずーっとテーマにしてきたことでして
家庭料理というと、昔から変わらない、何か普遍的な料理のようにイメージがあって
教科書的な、昔からの作り方ややり方が
さも正当な料理法のように紹介されることが多いですが
実際、時代とともに、食材の味も品質も変わってきているし
育て方、流通方法、また、料理や食べるという行為そのものの手軽さなど
日々、どんどん変化し続けているのが現状。
食材の下処理の方法、加熱時間、使う道具、手法など
今の時代に合ったやり方に代わっていくべきだと私は思っています。
それは、昔ながらのやり方を否定することではなく
昔ながらのやり方のいいところは残し、時代とあわなくなったところは修正し
また、もっと良いやり方があれば、それを取り入れていく
つまり、PCのシステムをアップデートするみたいに
今あるシステムを、今風に少しずつ修正することが必要です。
リセットではなく、アップデート。
アップデートすることで
今まで料理に興味がなかった人や、忙しくて作れなかった人など
家庭料理を作ってみよう、作ってみたいという人数が増えていけばと思っているのです。
時代が変わり、便利な時代になり
料理をしなくても食べていける時代だからこそ
家庭料理を守り、伝えていく手段が必要で
伝統をアップデートし続けることの大切さをあらためて感じました。
五嶋龍さんに影響を受けて
今日は、朝から、栗ご飯をアップデートさせてみようと
あれこれ、一日がかりで試行錯誤しました。
この時期、一度は栗ご飯を作りたいと思うけれど
栗の皮むきが大変で、なかなか作れないでいる方も多いのではと思うんですね。
私は今までやってきた方法は
さっとゆでてから皮をむくという方法。
皮をさっと加熱することで、若干むきやすくなるんです。
でも、やっぱり、はっきり言って、むきづらい。
そこで、どうしたものかといろいろ考え
魚焼きグリルで焼いてみたり、オーブンで焼いてみたりもしたんだけど
皮に切れ目(それも深く)を入れておかないと
さるかに合戦の栗みたいに、パーンと破裂して危ない。
実際、今日はオーブンで焼き栗もやってみたんだけど
切れ目が深く入っていなかったのが破裂し、
オーブンの中が悲惨なことになりました。
(ゆでるより焼いた方が、味が濃くておいしいと思ったのです。
焼き芋でもそうですよね)
う~ん、何かいい方法はないものかと、さらに考えた結果
行きついたのが圧力鍋。
栗と栗がひたひたに浸かるくらいの水を入れ、ふたをして火にかけ
圧力がかかったら、すぐに火を止めて終了。
後は自然に圧力が下がるまで放置します。
少なめの水で、蒸しゆでにする方が、栗がほくほくしておいしいので
当初、少なめの水でやってたんですが
そうすると、むきやすい栗とむきにくい栗があって
なんで、こんなにばらつきがあるんだろうと考えているうちに
そうか、栗が全部水に浸かっている方が
皮が柔らかくなってむきやすくなるのだということに気づいたんです。
なので、水の量は、栗が浸かるくらい、ひたひたがいいですね。
圧力がかかったらすぐに火を止めてOK。
圧力が下がるまで、加圧している状態が続くので
それだけで十分なのです。
圧力が下がったら、すぐにざるに上げてむき始めてもいいですが
そのまま手で触れるくらいまで、ゆで汁の中につけておくほうが
皮が柔らかくてむきやすい気がします。
栗の下の部分を包丁で切り落とし
そこをとっかかりにして皮をむくのです
やってみて、正直びっくりしました。
圧力をかけてさっと加熱した栗って
まるで天津甘栗のように皮がむけるんですよ。
外側の硬い皮だけでなく、渋皮までするんと。
栗によっては、渋皮までするっとはむけないものもあるけど
手でめくれば簡単にむけます。
まあ、中には手でむけない天邪鬼なやつもいますが
それでも、包丁でむいても、生の栗の渋皮をむくよりははるかに簡単。
圧力鍋っていうのが、ちょっとめんどくさいように思うかもしれませんが
生の栗の皮をむくことを思えば、加圧時間0~1分ですから
こっちの方が、はるかに楽ちんだと思います。
圧力をかけて加熱しているので
栗の中まで、完全に火が通っていますが
そのままご飯に炊き込めば、栗ご飯も作れます。
今日は、鶏肉と一緒にもち米に炊き込んで
鶏と栗のおこわにしてみました。
これだと、ちょっと食べごたえがあっていいかなと。
家庭料理のアップグレード
家庭料理の持つ、温かさや優しさはそのままに
より簡単に、よりおいしく、より楽しく。
アップグレードすることで、
まだまだ家庭料理に可能性は無限に広がっていくはず。
コメント
いつも楽しく拝見しています。これからも料理の参考にさせていただきたいと思ってます。よろしくお願いします。
ありがとうございます。
これからもよろしくです!!
コメント、ありがとうございます。
こちらこそ、どうぞよろしくです。