家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
毎年、年末に立派な自然薯(じねんじょ)を送ってくださる方がいて
年明けに、おいしい麦とろを楽しみます。
植物に知能があるかどうか、は意見の分かれるところですが
私は、植物もやっぱりいろんなことを考えて生きているんじゃないかと思っています。
中でも自然薯(じねんじょ)は頭のいい植物で
土の中に芋を成長させていくとき
自分の伸びる先にちょっとでも石などの障害物があると
すぐに察知して、ぶつからないようにうまく曲がって伸びていくんです。
さらに、芋の部分は直射日光が当たらない日陰を好むので
つるを伸ばして、近くに生えている木に巻き付け
葉を使って日陰を作り
芋に直射日光が当たらないようにしちゃうんです。
更に、土の下の芋が人間や他の動物に食べられても
種が途絶えたりしないように
木の上に、むかごと言う直径1センチくらいの小さな種芋を実らせるんです。
これだと、土の中で子芋を育てるのと違って、
木の上なので
他の動物にとられるリスクはうんと小さくなるわけで、
これ、相当賢いと思いません?
もっとも、人間はそのむかごもちゃっかり収穫して
油で揚げたり、炒めたり、茹でたり、ご飯に炊き込んだりして食べちゃうんですけどね。
チョコボールくらいの大きさの芋なのに、
いっちょまえに、しっかり自然薯の味がして、おいしく
ちょっとかわいそうだなと思いつつも、むしゃむしゃ食べちゃう私です。
さてさて
今日は、その自然薯でとろろごはんを作りました。
もちろんご飯は押し麦入りの麦ごはん!!
麦飯は、白米を焚くときに、炊飯用押し麦をぱらぱらっといれ
押し麦と同じ量の水を増やして焚くだけ。
自然薯は、皮の部分に香りがあるので
皮ごときれいに洗ったら、ガス火のところにかざしてひげ根だけを焼き切り
皮ごと下ろします。
皮ごと下ろした方が、ちょっと土のにおいがして
なんか、自然を丸ごと食べているようなというか
洗練されすぎない、しみじみとした味わいになります。
自然薯は、おもちみたいに粘りが強いので、だしで伸ばしてトロトロにするんですけど
だしがやはりかつおが合いますね。
味噌を溶き入れただしで伸ばすのもおいしいのですが
今日は、マグロの漬けを合わせてごちそう風にするので、
すっきりとしょうゆベースのだしで伸ばしてみました。
食べるときにワサビや刻みのり、味が足らなかったら醤油を少しかけて。
実際は、京都の塩昆布や辛子明太子、納豆、キムチなんかも添えて
いろんなものを乗せたり、かけたり、ちょい足ししたり、
いろいろに食べるとおいしいですね。
自然薯の粘り成分は、胃腸の粘膜を保護してくれるし
実は、消化酵素をたくさん含んでいるので
お正月で、胃腸がお疲れ気味のこの時期
自然薯でお腹をいたわるというのは、すごく理に適っているのです。
さらに、一緒に食べる押し麦は食物繊維がたっぷり。
押し麦に含まれる食物繊維は、水溶性の食物繊維が特に多いので
腸内のデトックス効果を期待できるので
これもますます、この時期にはおすすめです。
仕事始め、新学期、なんだかまだ本調子じゃないなあという方
とろろご飯で、おなかの中から元気になってみるというのはいかがですか?
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