でいりいおくじょのBLOG

2016.07.30

読書日記「わたしの容れもの」

40代から50代というのは

女性にとって、体も心も大きく変化していく時期ですね。

厳密にいえば、男性もおそらく変化してはいるのでしょうが

女性の場合、明らかに閉経という体の変化があるし
 

多かれ少なかれ、それに伴う体の不調、心の不調を受け入れざるを得ません。

けれど、そんな心と体の変化って、ものすごく個人的な問題だし

やたら人に聞くのも気が引けるし

そんなことを思っていたら、こんな本に出会いました
 

「わたしの容れもの」(角田光代著 幻冬舎)
 

この本は、角田光代さんが

自分の体の変化をテーマに連載されていたものをまとめた一冊です。
 

この時期の変化というのは

老眼とか、更年期とか、腰痛とか、具体的なことはもちろん

集中力がなくなった、根気が続かないというような

第三者から見たら、ほんの些細な体の変化です。
 

最初は、ちょっと疲れているだけとか、今日はたまたま調子が悪いだけ

とおもっていたのが

いつの間にか、そういう不調がいつも体の芯の部分に存在していて

なるべく、気づかないふりをしてみるのだけれど

確実に、じわじわと忍び寄っている。
 

これが老いというもの

その時点で、確実に人生の後半に突入しているといえますね。
 

自分の体を思い返し

ああ、あるある、あるあると心で叫びながら、一気読みしました。
 

いや、うそです。

正確に言うと、あった、あったです。

角田さんは私より若干若いので、それは数年前の私の姿であり

今の私は、もっと先を歩いておりますです、はい。
 

考えてみたら、若いときは

「夢」とか「希望」とか、自分の思い描く理想の姿に近づくために

今、どう生きるべきかを考えていて

つまり、体や心を、そこに近づけようと頑張ってきました。
 

でも、40代くらいから、だんだん

体のほうがだんだん思い通りにならなくなってきて

そんなはずはないという思いと、これが今の限界なの?という思いの間で

心は揺れ動き、体はあちこちガタが出始め
 

つまり、いくらすごい「夢」とか「希望」とか「理想」とかがあっても

やれる仕事量には限界があるということが、だんだんわかってきて

最初は、ちょっと抵抗して、もがいてみたりもするのだけれど

そのうち、がむしゃらには頑張らなくなる自分がいたりする。
 

若いときには、そういうのダサイと思っていたけど

年を取ってきたら、こういうやり方に上手にスライドするのも

人生を豊かに過ごすのに大事なのかも。
 

そうなると、

自分の人生の中の大事なものの優先順位というのを見直す必要が出てきます。

これはもう必要ないなとか、もうこれは今の自分には似合わないなとか

洋服を整理するみたいに

もがいたり、悩んだり、迷ったりしながら

いろんなものを見直して、少しずつ手放して

大事なものを再確認する時間が、40~50代なのかもしれません。
 

そんなことを思った本でした。
 

その一方で、さすが角田さん!!と感心し

自分の生活をちょっと反省したことが2つ
 

ひとつは、

角田さんといえば超売れっ子なので、想像を絶する多忙さのはずなのに

その仕事スタイルは、朝9時から夕方5時まで

土日は完全に休みにされているということ。
 

そうすることで、四六時中小説の事を考えないようにしているそう。
 

そうなんですよね~。

私は、オンとオフの切り替えがものすごく下手なので

四六時中料理の事ばっかり考えていて

だめだなあ~と反省することしきり。

それでも最近はですね、

仕事とは全く関係なく、自分の楽しみとして作ったり食べたりするコツのようなものが

少しずつ分かり始めたところ。
 

60代、70代になったとき

今よりうんと、遊び上手、暮らし上手になっていたいな。
 

二つ目は

角田さんが、マメにお医者さんに行ったり、自分の体を調べたりされているのがすごいなと思いました。
 

こんなことを書くと顰蹙を買うかもしれませんが

私、人間ドックも、健康診断も、ほとんど受けたことがなくて

そもそも、お医者さんに行くようなことがほとんどないのです。
 

でも、健康診断くらいは、きちんと受けて

自分の体の、いろんな数値くらいは知っておいたほうがいいなあと思った次第。

今年は、健康診断に行こうと思います。
 

わたしの容れもの

機械でいうとハード部分。

きちんとメンテナンスしながら、長く大切にしなくっちゃね。
 
 

そんなことを改めて思い出させてくれる一冊でした。

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