でいりいおくじょのBLOG

2016.07.26

読書日記「クスクスの謎」&クスクス料理いろいろ

世の中には、知っているようで、いざ説明しようとすると何なのかよくわからない食べ物ってありますよね。

例えばクスクス。

あれはパスタを細かく切ったものなのか、あるいは小麦粉を砕いたものなのか

そもそもああいう形のものがあるのか

少なくとも日本人にはなじみのない食べ物のはずなのに、食べればどこか懐かしい。
 

クスクスって、いったい何?

この前渋谷で、映画を見る前の待ち時間でクスクスを食べたら

クスクスっていったい何のか、ものすごく興味が湧いてきて

本を読んでみました。
 

{クスクスの謎}(にむらじゅんこ著 平凡社新書)
 

この本は、フランスでクスクス入りのスープのおいしさにはまった著者が

クスクスの歴史、世界にクスクスが広まっていく経緯

世界のクスクス料理について、詳しくまとめた一冊。
 

そもそもクスクスって何なのか?
 

この本によると

セモリナという硬質小麦のあら粒状のものに、

水をふりかけきめの細かい小麦粉をまぶす作業を繰り返し

セモリナのまわりに小麦粉のコーテイングをしたものがクスクスで

コーテイングの厚さによって、クスクスの粒の大きさが変わるのだそう。
 

もともと中世イスラム世界のパスタには、ひも状パスタと粒状パスタがあって

クスクスは粒状の方に属するらしい。
 
 

クスクスというと、フランス料理だとか、アフリカ料理だとか、アラブ料理だとか

いろいろ言われているけれど

そういう分類で行くとマグレブ料理になる。
 

マグレブ五国というのがあって

アルジェリア、モロッコ、チュニジア、モーリタニア、リビア西部

これらの国で主食として日常的に食べられているもの、それがクスクス。
 

もともとは、牛乳やオイルをかけてシンプルに食べられていたのだけれど

やがて、肉と野菜を煮たスープをかけたり、スープで煮たりして食べるのが一般的に。
 

この本には、

このマグレブ料理が、なぜフランスに広まり、

世界で最もフランスでたくさん消費されるようになったかとか

更に、イタリアやアメリカや世界に広がって、それぞれの国で様々な食べ方で親しまれるようになった様子

料理のバリエーションなどが紹介されています。
 

詳しくは是非、読んでみてください。

すごく面白いです。
 

・・・・・と、ここまでが本を読んで知ったこと。

確かに、クスクスって、

保存がきく

調理が簡単で、(熱湯をかけて蒸らすだけで食べられる)

スープに入れて食べれば少量でもおなかが膨れ

赤ちゃんからお年寄りまで食べやすい!

いろんな意味で、人気が出る要素を併せ持っていますよね。
 

ところが、日本ではまだまだ、そんなに知られていないし

普通のスーパーには売っていません。

周りの人に聞くと、好きという人は確かにいるけど

他の外国商材ほど、一般的な感じもしません。
 

なんでなのかなあ、と、私はそっちのほうに興味を持ちました。
 

で、昨日作った夏野菜とお豆のカレーが残っていたので

クスクスにかけて食べてみました。

これって、すごーく正当な食べ方なので、おいしいのですが

日本人の私は、やっぱりごはんのほうがしっくりくるんですよね。
 

こういうどろりとかけるものって、かけるカレーがおいしいことはもちろん大切だけれど

日本人って、カレーと一緒にご飯のおいしさも味わっているから

これがごはんではない粒食だと、ちょっと満たされない感じ、しちゃう・・かな。
 

そこで、おいしいスープを吸わせるような料理がいいのではと思い。

あさりとキャベツとトマトをニンニク風味で蒸し煮にし
 

蒸し汁ごとクスクスにかけてみました。

旨みたっぷりのアサリの蒸し汁を吸ったクスクス

確かにおいしいのだけれど、やっぱり、なんかちょっと違う感じ。

これなら、スパゲテイーにしたほうが、おいしい気が…。
 

で、もう一度本を読み返してみたら

私が見落としていた箇所がありました。
 

“クスクスは、必ずスパイスと一緒に料理すること”
 

そうか、ご飯の感覚でシンプルに料理してしまうと、

クスクスの味というか香りというか、癖のようなものが前面に出て、

せっかくの旨みが生かせないのです。

そこで、上から、ニンニク醤油にラー油を混ぜたものをかけてみたら

おおーっ、いい感じです。
 

香辛料の香り、そして油が入ることで、ぐっとおいしさが引き出されました。

そうか、ご飯と同じように料理したらいいように見えるんだけど

そこにちょっとしたこつがあるんだなあ・・・フムフム。
 

それならば、スープそのものに入れる定番の食べ方の場合だとどうなるか。
 

早速やってみました。
 

かぶと人参とズッキーニをささみと一緒に煮て

(なぜか、クスクス料理にはかぶ&ズッキーニという組み合わせが多い)

いわゆるシンプルなスープを作ったところに

熱湯で蒸らしたクスクスを入れてみました。

味付けはシンプルに塩で。
 

これって、リゾットとか、おじやと同じようなもので

クスクスのほうが米より粒が小さい分、スープで煮た時のど越しがいいですね。
 

コショウをきかせて、オリーブオイルをタラリ。

油と香辛料

うん、これは間違いない。
 

ここで、ちょっと遊び心が顔を出し
 

半分残しておいたのに、梅干しと塩昆布、オリーブオイルで仕上げてみました。

悪くない。

悪くないけど、やっぱりスパイスがほしい。

なので、ショウガと七味唐辛子を食べるときにプラス。

こういう香りのものがあるほうが断然いいですね。
 

梅干しが合うかどうかは好みで分かれるところだけれど

塩昆布は確実にクスクスと合う!!・・・・・と私は思います。
 

そういえば、先日読んだ楊逸さんの「蚕食鯨呑」の中で

楊逸さんがクスクスにはまって、毎日のように食べる話が出てくるのだけれど

考えてみたら、中華料理ってスープやあんかけが多いし

香辛料も油も使うので、クスクスとは相性いいはずですね。
 

本の中に、中国でのクスクス事情は書いてなかったけど

もしかしたら、中国の人がクスクスのおいしさに目覚めたら

一気に、クスクスの消費量世界一になっちゃうかも・・・・なんてね。
 

それにしても、クスクスって、一見地味な食べ物なのに

世界中で、いろんな食材と組みあわせて

それぞれの国で、それぞれの国の味になって親しまれている。
 

これって、考えてみたら、すごいことですねえ。
 

これから東京オリンピックで

日本もイスラムの人たちが口にできるハラルを提供するレストランが増えているというのを

雑誌やニュースで目にするけど

これから、おいしいクスクスの食べ方が
 

日本の中でもっともっと研究されて、人気が出るかもね。

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