家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
話題の新刊、ようやく読むことができました。
「アナログ」 (ビートたけし著 新潮社)
とってもピュアな恋愛小説です。
毎週木曜に、「ピアノ」という喫茶店で会いましょう。
メールアドレスも電話番号も聞かず
そんなあやふやな約束だけでつながっている二人。
木曜日が待ち遠しい。
会いたい。
でも、木曜日に相手が来るかどうか確信はない。
もし、都合が悪くなって、どちらかが来られなくなったとしても
なぜ来なかったかも
来週会えるかどうかもわからない。
恋しい。
連絡が取れないからこそ、木曜日が大切で、待ち遠しくて
会いたい気持ちが募る。
世の中、アナログからデジタル時代になって
無駄なことがどんどんなくなり、なんでも効率よく、スピーデイーになって
もちろん、それはありがたいことなのだけれど
昭和人間の私は、何か大事なものが失われていく感じが常にしている方なので
この物語には、共感する部分大でした。
メールや携帯電話にしても
今やこれがなかった時代なんて、思い出すこともできないくらいになっていますが
こと、恋愛に関していえば、常に相手とつながれることがいいことなのかどうか。
お互いに知らないことがあるからこそ、の関係っていうのもあると思うし
むしろ、そういうドキドキみたいなのが、恋愛ってことじゃないのかって思う。
会いたいけど会えない切なさとか
相手のことがわからない不安とか、心配とか
まさに「会えない時間が、愛育てるのさ~」
いや、これ、恋人でも家族でも親子でもそうで
私は常につながっている状態って、なんかちょっと息が詰まる
知らないところがあってこそ
人の心をおもんばかれるし
人に対する優しさが生まれると思う。
久しぶりに、若い頃の、何ともやりきれない気持ちを思い出すことができ
読後感も、すごくよかったで、おすすめです。
それから、この小説の全体を覆っている人間賛歌というか、人が好きっていう気持ちっていうか
そういうのがすごく伝わってきて心地よかったです。
女性が菩薩のような存在として描かれているのに対して
男性は、単純で、馬鹿で、くだらなくて、どうしようもなくお調子ものに書かれているのだけれど
その本質はどこまでもピュアで憎めないのがいいんです。
男同士の友情っていうか、仲間っていうのもいいのです。
人の手柄を横取りするような、いやな上司も出てくるのだけれど
その人も本質は優しくて、いい人だったりするのもいいのですよ。
結局、世の中はデジタルになっても、人間そのものはアナログで
上手にデジタルを使って、効率よくやるべきところはやった方がいいけれど
人と人との付き合いは、あくまで最後のところは面と向かって、言葉できちんと言える関係でないとだめだと、改めて思いました。
昭和の人が読むと、絶対どこかで共感できるところがあるはず。
今のデジタル世代の人も、読んでほしい一冊です。
コメント
先生、おはようございます。
恋愛小説なのですね。
読んでみたいです。
私も、いつの間にか、スマホを手放せなくなっている自分が怖いです。
アナログにはアナログのよさが、やっぱりありますね。
先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。