家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
梅棹忠夫氏の本の中に
京都人の度し難い中華思想という表現が出てきて
京都人の何をもって、中華思想とおっしゃったのかを知りたくて
中国人の食習慣や食の歴史について書かれた本を読んでみました。
「中国人の胃袋 日中食文化考」 (張競著 バジリコ株式会社)
この本は、上海生まれ、日本の大学を出て、日本の大学で教鞭とを取られている著者が
日本と中国を比較しながら、食文化、食習慣、料理法などについて書かれた本です。
日本と中国が似ているなあと思ったのは
正月とか、大みそかとか、お葬式とか、お祝いとか
そういう行事の時には○○をたべると儀式的なことが事細かに決まっていて、
そういう暦に沿って暮らしているところ。
特に京都人は、そういうところあります。
例えば、わかりやすいところでいうと、節分の恵方巻
今でこそ、コンビニでも売られるようになりましたが
私の子供の頃から、本当にやっていた習慣で
何の疑問も持たず、節分イコール巻きずしを丸かじりすると思っていました。
6月30日には水無月を食べるのもそう。
8の付く日はあらめを食べるとか
15日には小豆のご飯を食べるとか
月末にはおからを炊くとか
私の子供の頃は、まだ、そんな暦に沿った食習慣が残っていたように思います。
たぶん、暦と食べ物という、一つのルールに沿って暮らすことで
今日も、明日も、何事もなくてよかったわあって感じで
何か安心しているような、ところがあったんじゃないかなあ。
たぶん、京都人の多くは、大きな変化を好まないところがあって
他所から、自分たちとは異質のものが入ってきたとしても
うまく、自分たちのやり方に取り込んで
自分たちの価値観や、生活はできる限り変化させないで
こっそりあちらをこちらに合わせるように変化させて取り込むところがあるのかも。
それがあるから、長い歴史の中で、京都は京都であり続けられたような気がする。
なので、様々な年中行事も
いつの間にか、中国の模倣ではなく京都独自の習慣にすり替わっていったように
中国の料理も、
いつの間にか、京都の味に作り替えられた
京都が変わるのではなく
あちらを京都に引き寄せて変化させた。
うーん、恐るべし、京都。
そういえば、この本の中で、へえーっと思ったことがもう一つあって
それは、中国でも夏になると、滋養強壮のために甘酒の様なものをを作るって書いてあったこと。
甘酒という名称ではのだけれど
蒸したもち米に麹を入れて発酵させ
調味料代わりに使うらしいのですが、
これ、どう見ても甘酒ですよね。
たぶん中国では、調味料の一種であったのを、
京都人は、夏の飲み物にした。
ここでも、あちらの文化をこちらにぐっと引き寄せて
自分たちの生活に合うように、取り入れた。
したたかなのか、頑固なのか、賢いのか、強いのか。
いずれにしても、
その京都人の感覚は、まぎれもなく私の中にも確実に合って
ただ、何かを模倣するだけでは面白くなく
ぐっと自分のやり方に引き寄せて、
自分の中で、おさまりのいい形にしないと気が済まない。
そんなところ、確実にある。
うん、これがまさに京都人のDNAなのかもしれません。
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さて。京都お弁当です。
豆腐ハンバーグ
ちくわと人参、大根の煮物
白うりの塩もみ
きくらげのきんぴら
卵焼き、ミニトマト
豆腐ハンバーグは、しそ入りで
味はポン酢照り焼きです。
昨日の夜、ポン酢と大根おろしで食べて
お弁当用に、少し取り分けておいたもの
お弁当ンポン酢だと味がのらないので
朝、砂糖とポン酢を煮詰めてからめ照り焼きあじにしました。
ちくわと人参、大根の煮物は
ざ、おばんざいって感じのおかずですね。
ちくわからいいだしが出るので、特に出しなしでもおいしく煮えるのですが
煮干しを3~4尾、一緒に煮ると
それだけで、ぐっとうまみが増して、本格的なおいしさになります。
白うりの塩もみは
池波正太郎さんの好物で、先日京都のお店で食べたらおいしかったので
作りました。
シャキシャキとした歯ごたえが、きゅうりとは違うおいしさです。
きくらげのきんぴら
戻したきくらげをごま油で炒め、しょうゆで味付けしただけ
ゴマをたっぷり混ぜると、いい箸休めの一品になります。
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