家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
17歳の特別教室という本のシリーズがあって
前に、高橋源一郎さんが書かれた「答えより問いを探して」という本を読んだら
めちゃめちゃ面白くて
他に誰が書いておられるんだろうとみてみたら
なんと、磯田先生も書いておられることが判明
さっそく読んでみました。
「歴史とは靴である」(磯田道史著 講談社)
実は
若いころは歴史が大嫌いだったんです。
なぜかというと、教科書に書いてあることを丸暗記する教科だと思っていたので
覚えて100点取るだけの教科って、ちっとも面白くないって思ってたんです。
ところが、大人になって
梅原猛先生の本を読んだ時
なんか面白いなあって思って
そのあと、司馬遼太郎、吉川英治、浅田次郎等等
歴史小説を読み始めたら、もう、面白くて面白くて
すっかり歴史好きになってました。
何がそんなに面白いかというと
例えば、今NHKでやっている明智光秀だと
本能寺の変にいたるまでのドラマを知るのも面白いし
それがなぜ光秀は信長を討つという選択をしたのか
信長を討つ以外の選択肢はなかったのかとか
もしも、信長が生きていたら、日本はどうなっていたのかとか
いろんなことがそこから考えられ、それを想像するのが楽しい
そして、その考えたことが、自分の生き方や考え方の土台となって
今自分の周りに起きていることをどういう風にとらえたらいいのか
というようなことを考える時の助けになる。
そこがいい。
歴史は、過去のことが詰め込まれた、単なる容器ではなく
そこから考える材料を見つけ出せる魔法の壺だと知った時から
すっかり歴史好きになりました。
磯田先生は大好きで、いろいろ読んでいるのですが
本を読むたびに、磯田先生、すごいと感心しまくっています。
磯田先生は、今まで歴史家の方たちとは
物事を見る角度が全然違っていて
あれとあれとを、そういう風につなげて考えるのか~~~~と
その頭の良さに感動する。
そして何より、話が分かりやすい。
とにかくすごい
で、この本です。
これは、磯田先生が、鎌倉女学院高等学校で特別授業をされたものを
再構成して一冊の本にされたものです。
高校生に話されたことなので
とても分かりやすく、読みやすいんだけれど
内容は深いです。
歴史というのは、誰かが自分の都合のいいように書き残しているもので
その都合のいい史実だけを見ようとすると、見えるものがとても少なくなる
双方の利害、複数の視点で物事を見なくてはいけない
自分にとって有利な情報も、有利でない情報も、両方しっかり見ないといけない
歴史とは他者理解である。
本当に、その通りだと思います。
磯田先生、しびれるわあ。
また、磯田先生は
証拠や史料に残っているものだけで世の中ができている考えがちだが
もしそうだとしたら、文字を持つ人は記録されるが、文字を持たない人は記録されない。
この言葉も、かなりやれました。
確かにそうだと思う。
文字として目にしたものがすべてではなく、その周りにあるものを創造する力を失ってはいけない。
特にネット社会では、ものすごい情報が入ってくるけれど
本当は、そこに流れていないことがたくさんあって、そのことを忘れてしまいがちです。
そのことも、肝に銘じなくては。
それから、磯田先生は、高校生に向けてこんなことをおっしゃっています。
生活のために職業に就くのは悪いことではないけれど
その仕事を通して、何か世の中が良くなるとか、みんなが良くなるようなことを考えて仕事をすることが大事。
本当に、ここ大事ですね。
好きなことを仕事にするってことはとにかく大事。
でも、その先にあるものが、単にお金とか、地位とか、そういうものだとしたら、ちょっと味気ない。
やっぱり、世の中とか、周りの人を良くするようなこと
そういうことを思って仕事はした方がいい。
私も本当にそう思います。
ところで、表題の「歴史は靴である」とはどういう意味かというと
歴史的にものを考えると、前より安全に世の中が歩ける。
歴史は、実用品で靴のようなものだ
という事だそうです。
本当に、盛りだくさんで、歴史の面白化、奥深さを知れるだけでなく
磯田先生のプライベートなこともわかって
(古文書ばっかり読んでいて彼女ができす、36歳で付き合った女性と結婚されたとか)
磯田先生ファンには、お得感満載の本です。
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