家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
朝井リョウさんは、タイムリーなテーマを題材にして
読み手に深く考えさせるような問題提起をしてくださる作家さん。
その朝井リョウさんの、話題の新刊を読んでみました。
「正欲」(朝井リョウ著 新潮社)
タイトルからして
今までの朝井作品とはちょっと違う感じはしていましたが
いや、かなり、読むのが大変でした。
重かった~。
ストーリーを軽く説明するのがとても難しいです。
この物語に登場する人たちは
不登校になってYoutubeを始めた小学生
男性恐怖症の女子大生
異性ではなく、水に性的興奮を覚えるカップル
このカップルは、それを隠すために、偽装結婚をしている。
また、幼児を偏愛する人
例えば、
不登校になってYoutubeを始めた小学生の息子に対し
検事をしている父親は
普通に学校に行き、普通のプロセスを経て大人になることを望んでいるのだけれど
この小説を読んでいると
普通というのは、いったい何なんだろう?と思えてきます。
マジョリティーの中にいることで
何か、ちゃんと生きていけることを保証されているように思うけれど
本当にそうだろうか
マイノリティーであれば
それだけで、確実に生きづらさはあるだろうけれど
だからと言って必ずしも、生き方が間違っているわけではないし
まして不幸ではない。
そう思うのは
自分がマジョリティーの中にいるからかもしれなくて
無意識のうちに
マジョリテイーであることが正しいと思っているからで
だからこそ。マイノリティーに属している人は
心を閉じて、誰にもそれを悟られないように
ひっそり生きるしかない。
マイノリティーな性癖の人の生きづらさは
後半、延々語られるので
理解できたように思う個所も、多少はありましたが
正直、感覚的に、ほぼ理解不能で
ただただ息がつまりそうになりました。
読み進むのが本当につらく
もう、途中から、その思考もついていけなかった
というのが正直な感想です。
最後まで読んでも
正直、この小説の言いたかったことは何だったのか
よくわからず
正しいって、いったい何だろう?
という問いだけは、心に残りました。
同じような考え方を持っている人が多い集団が
世の中の物事を進めていく
それが民主主義というものだとして
でも、やっぱり、支持する人数が多いからと言って
必ずしも正しさではないことは、すごく思いました。
でも、何が正しいのか
最後の最後まで読んでも
全く分かりませんでした。
どよーんとした、鉛のような重さが残りました。
読むのはかなりしんどいので
おすすめかというと、う~んという感じですが
でも、今の現実に起こっていることをタイムリーに切り取っている個所もかなりあり
現実に起こっていることについても
いろんな角度から考えることができたのは良かったかなと思います。
そういう意味では、まぎれもなく朝井作品でした。
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