でいりいおくじょのBLOG

2018.04.12

京都・精進料理 大徳寺一久

大徳寺の目の前にある、一久というお店に行ってきました。

大徳寺納豆と大徳寺麩で有名な、大徳寺の精進料理を食べさせてくださるお店で

500年の歴史があります

 

応仁の乱で焼けてしまった大徳寺の復興を任された一休和尚の名前から

一久という屋号を賜ったそう。

 

以前から、こちらのお店のことは知っていたのですが

なかなかいただく機会がなく

ようやくいただくことができました。

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豆ごはん

豆の甘みとうまみがご馳走ですね。

 

お汁は、つくねだんごに見立てた生麩と里芋、ふき

味噌の中に、大徳寺納豆が溶かし込んであります。

大徳寺納豆というのは、薪で炊いた大豆とはったい粉を混ぜ、

朝昼晩とかき混ぜて空気を送り込みながら、育てていく独特の製法で作られるもので

一見赤みそのようなもの。

けれど味噌のように寝かして発酵させるのではなく、混ぜて育てながら手作りされるのが特長だそう。

確かに、赤みそよりも芳醇な旨みが結晶している感じがします。

 

正直、大徳寺納豆を溶かし込んだみそ汁というは始めていただいて

その香りの豊かさと、まろやかなコクに唸りました。

すごいです。

 

上にお皿の中身は

 

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卵焼きに見立てた擬製豆腐

香茸というきのこの煮物

ナス、ソラマメ

大根なますのわさび巻き

後ろに見える黒いものは大徳寺麩

 

生麩になる前の小麦粉のグルテンだけを甘辛煮た様なもので

これもさすがに、おいしく煮てありました。

京都のお麩屋さんに行けば、大徳寺麩自体は買えるので、

私詩人、何回も買って煮たことはあるのですが、

なかなかこんな風においしく煮るのは難しいです。

やはり、さすがとしか言いようがありません。

 

右上が菜の花の辛子白和え

ねっとりとした豆腐のコクと、隠し味の辛子と

菜の花の香りと

精進料理というと、味が薄くて頼りないというイメージがありますが

いえいえいそんなことは全くなく

辛子がきゅっと全体を引き締めています。

 

筏ごぼうと湯葉の木の芽の佃煮のせ、梅の生麩

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筏ゴボウはこちらの名物だそうで

とても軟らかく煮たゴボウに、ねっとりとした独特な食感の衣をつけて

焼き揚げにしたもの。

ゴボウの柔らかさともっちりとした衣が独特でした。

けれど、この独特な食感とごぼうの野菜しい香りがなんとも言えずによく合い

後をひくおいしさでした、

 

更には、湯葉と木の芽佃煮の組み合わせが、最高においしく

その二つが口の中で混ざる時の幸福感は、

湯葉の持つねっとりとした食感と、コクと甘みが木の芽の香りによって

更に口になかにいっぱいに広がり、とても重厚なおいしさにでした。

 

ごま豆腐

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精進料理といえば、やっぱりいちばんの思い浮かぶのがごま豆腐

こちらのごま豆腐は、粘りが少なめで、

口の中に入れた時にほろほろと砕けてふわーっとなくなるくらいの感じです。

くずもちみたいなねっとりしたのとは違っていて

むしろ本物の豆腐に近い感じ。

スーッと喉の奥に消えた後に、ふわーっと上品に胡麻の香りが口の中に広がり

しつこくなく、本当にやさしい気持ちになれる一品でした。

 

IMG_6113

 

煮物は、湯葉の揚げ物とタケノコ、きぬさや、木の芽

このおだしが、何とも言えないコクがあり、スーッと澄み切っているのに深い旨みがあり

お精進で、これだけのコクが出ることにびっくりです。

湯葉はくみ上げ湯葉のようなねっとりした美味しさで

たけのこの食感、香りもご馳走でした。

 

後は、もう一度豆ごはんと香の物

イチゴ

最後のお菓子は、干し柿ですが、シロップに浸していあるのか煮てあるようで

ねっとりと柔らかい食感。

隠し味にゆずの皮が忍ばせてあります。

干し柿と柚子の香りがよく合い、干し柿好きにはたまりません。

 

そして、添えには、大徳寺納豆

お抹茶を頂きました。

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おそらく、干し柿をいくつか重ねて成型した形が、

禅宗寺院で見られる、花頭窓の形のようにも見え

禅宗寺院である大徳寺とともに、ここで精進料理を守ってこられた歴史をしみじみと感じながら頂きました

 

全体としては

精進料理なので、動物性食品は一切使われていないのに全く物足りなさはなく

むしろ、一つ一つの料理が丁寧に作られていることもあり

心に響く美味しさでした。

物足りなさは全くなく、むしろ、素材一つ一つの饒舌さに驚きました。

 

ストイックなようで、とても自由

あっさりしているのに、コクがあり

シンプルなのに、複雑である。

相反するものが一つに共存する、大徳寺一久さんの精進料理の中に

大徳寺を紫野に開いた大燈国師士の心が確実に受け継がれているのを感じました。

 

 

コメント

  1. Yu-ki より:

    先生、おはようございます。

    以前、京都ひとり旅をした際に、大徳寺一久さんで精進料理をいただきました。
    調理師学校の卒業製作を精進料理でやってみようかな、と思っていて、色々なお寺の精進料理巡りしました。
    その時を思い出しながら読みました。
    夏だったので、違う食材も使われていたかと思います。

    時代が進んでも、受け継がれていくものの力強さを感じました。

    先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。

    1. 奥薗壽子 より:

      そうでしたか。一久に行かれたことがあるのですね。
      大徳寺は京都の中でも別格の禅寺なので
      その流れを汲んだ一久さんの精進料理は、さすがです。

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