家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
小鍋料理というものに初めて出会ったのは
池波正太郎の小説でした。
梅安や鬼平が行きつけの小料理屋さんで
豆腐とか、貝と大根とか、細く切った鶏肉なんかを
小鍋で煮ながら、ちびちびお酒を飲む。
下戸の私でも、ああ~おいしそうだなと思いました。
で、我が家でも早速やってみたら、これがなかなかよくって
以来すっかりはまってしまったというわけ。
何がいいかというと
小さな土鍋さえあれば、たくさんの具材がなくても
汁ものを作る感覚でちょこちょこっと気軽に作れるし
一人ずつお椀に盛ったら、単なる副菜にしかならないものが
土鍋でまとめて作るだけで、なんとなくメインのおかずっぽくなる。
しかもさめにくい。
こりゃいいわ~と思って、毎日のように小鍋料理を作っていたら
先日のネットニュースで、今年の鍋物の傾向について書いた記事を発見!!
最近の鍋物のトレンドは
一人で食べる「一人鍋」
パートナーと一緒に食べる「ペア鍋」
食卓を囲んだ各々が一人前の鍋で好きな味を楽しむ「別鍋」
なんていうのもあるそうだけれど
いずれにしても
大きな鍋でいろんなものをぐつぐつ煮て、大人数でワイワイ食べるっていう昔ながらのスタイルから
小さなサイズに、なべの料理も変化しているよう。
小鍋料理のコツは
おかずスープを作る感覚で作るといいと思うんですよね。
まず、メイン素材を考えて
豚肉、鶏肉、鮭、タラ、肉団子など、何かを決めれば
これと昆布を合わせるだけで、基本のだしのベースは完成します。
昆布に含まれるグルタミン酸と、
動物性食品に含まれるイノシン酸で
簡単に、ぐっとおいしいだしができてしまうんです。
ちなみに昆布は、なべものに入れるときに大きい昆布をベロンと一枚入れるイメージがありますが
はっきり言って、あんなたくさん昆布は必要ないと思います。
小鍋料理なら、1×10センチのもの1枚で十分。
しかも、だしを取って引き上げた後の昆布をどうしたらいいのか
私なんかは途方にくれちゃう。
佃煮とか作ればいいのだろうけど
鍋物って、毎日でも大歓迎の我が家では
毎日、あの大きな昆布がたまっていくとなると
鍋物をつくこと自体が、ちょっと気が重くなりそう・・。
だから、1×10センチに切った昆布を、チョキチョキ切って入れてみてください。
これなら、一回完結。
鍋物の具として昆布は、知らない間に口に入っちゃってるから
鍋を食べ終わった後、つくだ煮を作る必要もなし!!
それからね
肉や魚などの食材は
沸騰したところに入れるのもポイントです。
だしが冷たい間に入れて加熱すると、
うまみ成分は温度が上がるときに外に出るので
スープはとっても美味しくなるんだけれど
鍋物って、やっぱり具材を食べる料理だと思うんで
具材が出し殻になったのでは、本末転倒だと思うんですよね。
魚や肉には下味をつけておくと
塩の保湿作用で、ぱさぱさになりにくく
味がついていることで、つけだれをつける量を減らせるので、おすすめです。
それから、もう一つ。
具材にきのこを入れるのもおすすめ。
きのこにはグアニル酸といううまみ成分が多く
これにより、うまみの相乗効果で、簡単にスープのうまみがグレードアップするのです。
アツアツの鍋物が食卓にあるだけで、なんだか心が和むし
小鍋なら、本当に気負わず気楽に作れます。
2~3種類くらいの少ない材料で、とにかく気楽に作るのがコツです。
これからの季節、ぜひぜひお試しあれ。
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今日の「日めくりレシピ」は「マーボー湯豆腐」
土鍋で作るマーボ豆腐なんだけれど
土鍋で作って小鍋仕立てにすると、いつものマーボーがなんだかちょっとごちそうになるから不思議です。
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奥薗壽子で検索してみてくださいね。
コメント
いつも大変お世話になっております。
実は、先生にお願いがございまして自分は障がい者施設で勤務させて頂いているのですが
昼食やおやつを作っています。
10人弱分でいつも似たようなものしか作れず困っています。
大人数のレシピ本など、出版されておられましたら是非購入させて頂きたいですし
無ければYouTubeなどで、ご教授頂きたいと思います。
勝手なお願いで誠に申し訳ございませんが宜しくお願い致します。
こんにちわ、コメントありがとうございます。
お仕事ご苦労様です。
大人数の料理の本は、残念ながら出しておりません。
また、普段は2~4人分くらいでしか作らないので
給食調理は、あまり詳しくないのです、すいません。
でも、私の紹介しているレシピで、3~4倍にしても作れる料理はたくさんありますので
良かったら、YouTubeの過去のレシピなども、さかのぼってみていただければ嬉しいです。
分からないことがあれば、質問していただければできる限りお答えいたします。
これからも、お仕事頑張ってください。応援しております。