家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
最近は、揚げ焼きという料理法も、ずいぶん一般的になりました。
フライパンを使って、1~2センチくらいの深さまで油を入れて、揚げるやり方。
これだと、油が少ししかいらず、無駄がないのがいいですよね。
でも、今回は、そういう揚げ焼きではなく
もっと少ない油、つまり、肉を焼いたり、炒めものを作るときくらいの油で
フライを作ることができないかという話なのです。
そもそも、ドイツ料理にウインナーシュニッツェルという料理があって
たたいて薄くした仔牛の肉に、小麦粉、卵、パン粉をつけてバターで焼いたものなんですが
この料理の手法を使えば
中の肉を薄くすれば、揚げなくても焼くだけでフライはできるのではないかと思ったのです。
理論的には、できるんです。
できるんですけど
焼くときの油の量が少ないと、パン粉がカサカサしてなんだかおいしくないんですね。
つまり、フライのおいしさって、油を吸ったパン粉のおいしさでもあると思うんです。
そういう意味では、パン粉だけを先に乾煎りしておいて
それを焼いた肉にあとからまぶして、フライ風に見せる料理もあるけれど
あれなんかは、見た目はフライそっくりになるけれど、
食べたときになんかちょっと違うなと思ってしまう。
やっぱり、パン粉が油を吸っていないので、
口に入れたときに、なんだか、やっぱりおいしさが半減してしまう気がするんです。
それなら、あらかじめパン粉に油を吸わせてから、肉につければどうか
アイデアとしては、悪くありません。
けれど、実際にやってみると、パン粉にそのままサラダ油をかけると、パン粉がだま玉になって、肉や魚につけにくい。
ならばたっぷりの油でパン粉を炒めておいて、それをまぶしつけたらどうか
でも、それだと
パン粉を炒め、肉を焼くので手間は二倍
それでも、うんとヘルシーになったり、おいしくなったりすればいいけど
普通にフライを作るより手間がかかる感じがして、これはボツ。
普通にフライを作るのより、おいしくなるとか、簡単とか
何かメリットがないと、意味がない。
ということで、もう一度、スタートラインに戻って考えてみる。
フライのおいしさは、油を吸ったパン粉のおいしさがあってこそ
けれど、焼くだけでは、パン粉のおいしさがうまく引き出せません。
それならば、外側と内側と両方からパン粉に油をしみこませたらどうだろう?
実は、揚げずに作るエビフライのレシピを10年以上前に完成させていました。
それは、エビにマヨネーズをからめてパン粉をつけ、オーブンとスターで焼くというもので
小麦粉、卵をつける工程を、マヨネーズひとつで代用したのでした。
なぜ、そんなことを考えたかというと
お弁当にほんの少しエビフライを作るのに
余るとわかっていて卵1個割るのも、少量のために揚げ油を出すのも、煩わしいので
それを何とか、楽ちんにできないかと思ったのでした。
オーブントースターで揚げ焼きにすると、パン粉はサクサクになるのですが
下の面がしんなりしてしまうという、問題が残りました。
そこで、さらに考えて、エビの厚みを半分に切って、1尾を2尾にしてから
マヨネーズとパン粉をまぶすことを思いつきました。
そうすれば、エビは加熱しているうちにくるりと丸まって
下側にくる面が、うまい具合に天板から離れるので
全体がサクサクに仕上がるのです。
エビなら、これで行けるけれど、鶏肉や豚肉なら下にくる面がサクサクになりません。
そうなると、やっぱり使うはフライパン。
マヨネーズとパン粉で試してみました。
悪くはありません。
悪くはないけど、もう少しサクサク感がほしい。
う~ん・・・。
これがもう少しサクサクに仕上がったならば、ワンランク上のおいしさになるのに。
更に考え、試行錯誤した結果、行き着いたのが粉チーズ。
粉チーズ自体に油が含まれているし、コクもあり、加熱するとサクサクになる。
こうして
マヨネーズと粉チーズを肉にもみ込んでパン粉をつける方法が完成しました。
この衣のいいところは
卵を使っていないので、量の調節がしやすく
ささみ1本でも、生鮭1切れでも
応用がきくということ。
マヨネーズと粉チーズに塩分とうまみがあるので
冷めても味がぼけず、コクのあるおいしい状態をキープできるということ。
そして何より、少しの油で焼くだけでも
中からマヨネーズの油分がしみだしてくるので、
少ない油で焼くだけでもパン粉がカリッと揚げた状態になること。
ということで、今日の結論
揚げずに焼くだけで、おいしいフライはできるのか?
答えは、できる。
具材にマヨネーズと粉チーズを絡めてからパン粉をつけるのがポイント。
特にお弁当などで、ほんの少しフライを作るときには重宝します。
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今日の「日めくりレシピ」は「鶏むね肉の粉チーズフライ」
毎日のお弁当はもちろん
運動会や行楽弁当にも、重宝するレシピですよ。
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