家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今日は、お雑煮の話です。
私は、京都で生まれ、育ち
その後、福岡を経由して東京に来たので
その土地土地のお雑煮は、それぞれが我が家の味になりました。
お正月初日は、生まれ故郷である京都の白みそ雑煮。
実は子供のころ白みそ雑煮が嫌いでした。
大きな鍋に白みその味噌汁を作り
そこにいきなりお餅を入れて煮るので
お餅が煮とけてドロドロになり、
全体がどろどろとした得体のしれない食べ物になっていたのです。
なので
大人になって、お店で白みそ雑煮をいただいた時
ああ、京都の白みそ雑煮って、実はこんなにおいしかったんだとびっくり。
そうか、餅を一緒に煮るのではなく
別々に加熱して
お椀の中で合体させれば、こんなにおいしくなるんだ。
以来、白みそ雑煮は私の大好きなお雑煮になり
我が家の子供たちも、
ろどろではなく、このさらりとした白みそ雑煮で育ったので
二人とも白みそ雑煮が大好きです。
作り方ですが
ベースになるだしは
私は、昆布と鰹節です。
白みそ(西京みそ)がおいしければ
水で溶くだけでも充分おいしいし
最後に、盛り付けてから糸カツオをのせるので
それが、だし代わりにもなるため
ベースになるだしは、それほど神経質になる必要はないかも。
むしろ大事なのは入れる量かな。
一人分150ccとして
私は、西京みそ大匙2くらいは入れます。
普通の味噌の倍です。
西京みそは、普通のみそに比べて、
麹が多くて甘く、塩分が少ないので
これくらい入れても、しょっぱいという感じにはなりません。
ただ、みその量が多いので、
お汁にとろりとした濃度がつきます。
普通に作ってもとろりとした感じになるのですから
この中に直接餅を入れて温めたら
とろりがどろどろになるのは必定。
餅と、お汁、別々に温めなければならない理由はここにあります。
あっ、ちなみに、白味噌といっても
全国には、色の白い味噌はいろいろあって
京都の西京みそに比べて、塩分の高いのもあるし
広島の府中みそなんかは、西京みそとは結構似ているけど
西京みそとは、出来上がりがやっぱり違うんですよね。
なので、京風の白みそ雑煮を作りたいと思ってくださるなら
ぜひ、西京みそを買ってみてください。
さて、そんな京風の白みそ雑煮ですが
家庭で作る場合は
この時期だけ市場に出回る
祝い人参、祝い大根というのを小口切りにして別ゆでしておいたものを
彩に入れるんです。
祝い人参、祝い大根というのは
直径1.5センチくらいの細いもので
そのまま輪切りにするだけで、お雑煮に入れるとかわいい感じになります。
東京では、祝い人参、祝い大根というのが手に入らないので
私は、にんじんと大根を梅型で抜いたものを入れて
ちょっと早春のイメージで、かわいらしく仕上げてみました。
お餅は、あらかじめレンジにかけて、軟らかくしたもの。
器の底には大根をひいて、その上にもちを入れると
器にお餅がくっつきません。
あとは、ここに白みそのおつゆをはり
一緒に煮ておいた人参と大根を散らし
餅の上に、糸カツオを散らします。
それから、最後に、だしで溶いた辛子を添えて出来上がり。
辛子を吸い口にすることで
西京みその甘い味が、キュッとしまります。
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