でいりいおくじょのBLOG

2016.06.30

読書日記「眩(くらら)」&鮭のごま焼き弁当

杉浦日向子さんの最高傑作とも言える漫画「百日紅」

(映画化もされました)

葛飾北斎の娘お栄さんを主人公にした漫画なのですが
 

これを読んで以来、お栄さんにぞっこん惚れこんだ私。

そんなわけで、このお栄さんを主人公にした小説があると知った時は

矢も盾もたまらず、読み始めていました。
 

「眩(くらら)」(朝井まかて著 新潮社)
 

天才画家葛飾北斎の娘お栄。

とにかく絵を描くことが好きで好きで、

天の思し召しがあるなら、何を捨ててでも絵筆で応えて見せてやると思っている。
 

北斎のアシスタント的な仕事(着物の柄を入れるとか、細かい背景を書くとか)をこなしながら

自分しかかけない、自分の絵の世界を苦しみながら模索し続けるお栄
 

北斎の娘なのだから

北斎の画風をそのまま踏襲して、それなりに上手く描く事ができれば

世間はお栄を評価するし、絵も売れる。

けれど、それでは満足できないところがお栄の魅力。
 

自分の描く世界観

自分しかかけない絵
 

淡い恋心も

借金の苦しみも

甥の時太郎への怒りも

すべてを、自分のうちに秘め

それを書き続けるためのエネルギーに変える
 

辛い時も、嬉しい時も、腹が立つ時も、

とにかく、ただただ描き続ける。
 

北斎いわく

70になる前に書いた絵は取るに足りなく

73になって、ようやくわかってきたような気になり

80を迎えたら、ますます画業が進み

90にして奥義を極める

神妙に達するのは百歳あたりだろう

この世は、生きたもんがちだ、その分修行ができる
 

北斎ほどの人でも、ちょっとやそっとで奥義までは到達できない

うまく描くことと、奥義とは違う。

見るからにうまいだろうという絵は品がなく

わざと無心を装った絵は目も当てられない。

描けば描くほどわからなくなるが、

それが苦しいからといって見ざすところを低くしたなら

すべてが一巻の終わり
 

とにかく、描き続けるしかない
 

いいなあ、親父どのもお栄さんも

そんな生き方を、私もしたい。
 

料理を作って作って作って

90になっても100になっても作って作って作って

そうして、家庭料理の奥義へとたどり着けたら言うことなし
 

今日よりも明日、明日よりも明後日

少しずつでも、とにかく料理を作り、料理を発信し続ける。
 

そのために、元気に生きなくちゃ。
 

改めて、自分の中で、ふつふつと熱いものがこみ上げてくるのを感じる本でした。
 

今回はじめて朝井まかてさんの作品を読みましたが

読み手の想像力を掻き立てる、絶妙な場面転換と構成

そしてテンポよく、心地よい文章。
 

その気風の良い文章の中で

途中何度も号泣させられるシーンもあり

人情もの読み物としても、最高に楽しめる一冊です。
 

直木賞受賞作品も、ぜひ読んでみたいなと思いました。

*******************
 

さて、今日のお弁当です。
 

鮭のごま照り焼き

筑前煮

えのきのベーコン巻き
 

玉子焼き、ミニトマト

 

鮭のごま焼きは

塩漬けにしておいた鮭をグリルで焼き

焼きあがる直前に、醤油と味醂を混ぜたものを塗って、ごまをパラパラ

ちょっと艶よく照焼き風になります。
 

筑前煮は、昨日の夜に煮たもの。

焼き魚には、こういう野菜たっぷりの煮物がよく合います。
 

えのきのベーコン巻きは。最後にじゅっとお醤油をかけました。
 
 

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