でいりいおくじょのBLOG

2014.12.07

読書日記 「閉経記」(伊藤比呂美著 中央公論社)


「読書日記」と打ったつもりが、気が付いたら「毒女日記」になっていた。

おお、強烈な本を読むと、こんなところにも影響が出るのか。

妙に感動した。
 

昨日に引き続き、伊藤比呂美さんの本をもう一冊。

いやはや、キョーレツな本でした。
 

まず、タイトル。

あまりにもストレートすぎて、なんでかわからないけど、ちょっと赤面。

でも、その数秒後には、手に取らずにはおれなくなる。

少なくとも、その年代の女性の心をわしづかみにしてしまう何かが、そこにある。
 

内容はというと

閉経期における女性の体の云々みたいなことではありません。

カリフォルニアでの生活、夫との関係、子供との関係

自身の体の変化、心の変化などを赤裸々につづったエッセイ集です。
 

職業が詩人だけあって

言葉のエッジが鋭いというか

さりげない言葉の一つ一つが、壊れたガラスの破片となってあちこちにズブズブと突き刺さってくる。

突き刺さった破片なんて、なんてことないわと、あはっと笑ってやり過ごした後で

じくじくと痛いような、かゆいような、おもしろいようなものが残り続ける。
 

人生の酸いも甘いもある程度知り尽くして、

ある程度自分自身を客観視できるくらいの年齢に達した今の私なら、

笑って読み飛ばせるけれど

もっと若い時に読んでいた

いろんな意味で自己崩壊していたかも。
 

女性公論に連載されていたものなので、まあそれくらいの年齢を想定して書かれているのだろうけれど

私はあえて50禁エッセイと言わせていただきたい。

50歳以下は、読まないほうがいい。

もちろん、男性も読まないほうがいい。

(多分、ここに書かれている世界観を、若い女性や男性が理解するのは不可能だと思う)
 

反対に、50過ぎて、ある意味怖いものがなくなった女性には、ぜひぜひ読んでもらいたい
 

女という性は、脈々と続いていく。

祖母から母へ、母から自分へ、自分から娘へ、そして孫へ。
 

閉経が来ようが来まいが、その流れが断ち切れることはない。
 

昔、母に感じた嫌悪を、自分と娘の関係では自分の中に見つける。

子供に感じた思いとは違う感情を孫に見出す。

それらはすべて、見えない糸でつながっている。
 

四捨五入で50歳。あと少しすれば、四捨五入で60歳。

女は漢(おんな)へと変化する。
 

「漢(おんな)」
 

この漢字は強烈ですね

酸いも甘いも、毒さえもあえて飲み込んで

強くたくましく生きていく。
 

おんなというエゴと業と運命の中でもがき苦しみ、傷つく。

けれど、最終的には、それらをすべて踏み台にして這い上がる。

そうして一段上に上がってすべてを俯瞰できたとき

女は漢へと変わる。
 

けれど漢は、終着点ではなく

漢になってからも、やっぱりもがき苦しみ

やがて、あらゆることが自分の思い通りにならないことを悟った時に

少しずつ菩薩へと近づいていく。
 

漢は菩薩への最初の入り口だ。
 

自分の中にある、どろどろとしたわけのわからないもの

女、オンナ・おんな・漢

これから先、もう少し生きてみると

それらの正体が少しずつ、わかってくるのかもしれない。
 

年を取ること、周りの環境や体の変化に自分の心が置き去りにされていく不安。

けれど、そういった一つ一つの変化が、

決して、人生のマイナスじゃないということがわかって

わたしなりに、覚悟が決まった気がした一冊でした。
 

やっぱ、伊藤比呂美さんはすごいわ。
 

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今日の「日めくりレシピ」は昨日にスイーツです。
 

「チーズ蒸しパン」
 

クリームチーズを使わず、スライスチーズで作るレシピです。

スライスチーズを使うことで、手軽で簡単なだけでなく

カルシウム量もグーンとアップします。
 

カルシウムは、成長期の子供だけでなく

閉経後の女性も意識して食べたいもの。

女性ホルモンの低下により、今まで守られていた骨のカルシウムが溶け出しやすくなり

骨粗鬆症のリスクがぐんと上がるのもこの時期です。
 

「日めくりレシピ」はツイッターでも毎日お知らせしています。

奥薗壽子で検索してみてくださいね。
 
 

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