でいりいおくじょのBLOG

2014.11.23

里芋+残りごはんで餅を作る!?


10年くらい前
JAの仕事で、全国を回っていたことがありました。
 
JAの婦人部の方対象の料理教室をやったり

地元品を使った料理を100人分くらい作って

文化祭みたいなお祭りをやったりしていました。
 

その仕事のおかげで、日本全国津々浦々、いろんなところに行かせていただい経験は

今になって思えば、貴重な財産になっています。
 

郷土料理とか、郷土料理とまではいかないまでも、その地域で昔から食べられている料理とかって

郷土料理を食べさせてくれるお店で、食べられないことはないのだろうけれど

そこに行って、実際そこの地域のおかあちゃんたちが作ってくれたものを食べてみてこそ分かることがたくさんあった気がしています。
 

たとえばかて飯。

いわゆる、その地方特有の炊き込みご飯といったところですが

大根とかサツマイモとか雑穀とかがシンプルに炊き込んである。
 

おしんのダイコン飯を例にとると

今でこそ、ヘルシーだとか、さっぱりして美味しいとかって話になるけど

実際は、少ない米をいかに増量しておなかいっぱい食べるための苦肉の策で

お米に大根をいっぱい入れて炊きこんだ

言ってみれば、貧しさの象徴みたいなことだった。

それがかて飯。
 

かて飯の中でも、私が印象に残っているのが

岐阜で食べた里芋のかて飯。
 

サトイモって、実は縄文時代にすでに日本で栽培されていた食べ物で

米より歴史が古いんですよね。
 

稲作が伝わる前の日本の農業は主に焼き畑農業で

作物を作った後、畑に火をつけて燃やし、その灰を肥料にして土に返した。

焼き畑農業で芋やら雑穀やらを作っていたところに

稲作文化のコメが入ってきて、

二つの異なった文化がぶつかり合うことになるのだけれど

結局は稲作文化が優勢になって、日本はお米の国になる。

弥生時代の始まりです。
 

そう考えると、米に雑穀やイモを炊き込んで食べるというのは

二つの異なった文化が、ここで何とか折り合いをつけたようにも見えて、ちょっと面白い。
 

例えば、京都のお雑煮には

必ず、やつ頭という親芋(サトイモは子芋)と餅が入るんですね

人の頭になる人になるようにという、願いを込めて頭いもを食べるらしいのだけれど

文化的なことを考えると、

焼き畑農業文化の芋と、稲作文化の餅を一緒の椀に入れて正月の神様にささげるというのは

実はこれ、すごく意味の深いことらしいのです。
 

前置きが長くなりました

岐阜の里芋ご飯の話です。
 

サトイモの炊き込みご飯を初めて食べた時、私がびっくりしたのは

サトイモの粘りで、米に粘りが出て、まるでもち米みたいにもちもちするということ。

炊き上がったご飯を混ぜるときに、わざと里芋をつぶす感じで混ぜると

さらにモチモチになるんです。
 

サトイモとご飯の組み合わせだけでも、面白いのに

サトイモを入れたら、うるち米がもち米になる!!
 

それに気を良くした私は、炊き込みご飯を作るときには

わざと里芋を入れて、おこわみたいな食感を楽しんだりするようになりました。
 

ある時、ふと、里芋とご飯を味なしで炊いて混ぜれば

普通の餅みたいなのものができるんじゃないかと思い

やってみたら、その通りモチモチ食感に
 

さらに気を良くして、そのご飯を軽く麺棒でついてつぶしてみたら

これがまあ、簡単おもちみたいになっちゃたんです。
 

こりゃいいわ、ということで、ずいぶん長い間この方法で餅を作っていたのだけれど
 

ある時、里芋の皮むきがめんどくさいので

何かいい方法はないかと考えた結果、まとめてゆでて冷蔵庫で保存する方法に行き着きまして

(サトイモって、ゆでると皮がむきやすいし、冷蔵庫で保存しても味が落ちない)

それなら、そのゆで里芋と残りごはんを一緒に潰せばいいんじゃないの、とひらめきまして
 

以来、ゆで里芋と残りごはんで作るやり方に落ち着きました。
 

これを考え付いた当時、まだ子供が小さかったので

餅つきするよーっといって、

土曜日とか雨降りとかに子供と一緒に餅つき(?)をやると、

結構子供も喜んで時間もつぶれ

おなかもいっぱいになって大いに助かったものでした。
 

食べ方も、丸めたものをフライパンで焼いて、砂糖醤油をからめて海苔で巻いた磯辺焼きとか

黄な粉やあんこをまぶしておはぎ風にしたりとか

あとは、平たく焼いて、ケチャップとチーズをのせてピザ風にしてみたりとか

いろんなことをやりました。
 

今思えば、あの頃子育てで忙しく

一晩もち米を水につけたり、もち米をわざわざたいたりすることなしに

子供と一緒に餅つきをして遊びながら料理ができたことが、とってもありがたかったのです。
 

子供が大きくなると、今度はまた違った意味でありがたい食べ物になりました。
 

というのも、

サトイモって、ごはんよりずーっと低カロリーなので

(ご飯100gは168kcal  
サトイモ100gは58kcal)

サトイモとご飯を混ぜて餅にすると、ご飯を食べるより、本当の餅を食べるよりもカロリーオフできるんです。
 

しかも里芋は、食物繊維も多く、ねばねば成分は腸内環境にもいい。

年齢とともに、あちこち、ぷよぷよしだした体には

うれしい食べ物となったのでありました。
 

縄文時代の焼畑文化の名残の里芋と

弥生時代の稲作文化で日本全土に広がった米が

ここにきて仲良くつぶされて混ざり合い

今の時代の健康食&ダイエット食になる。
 

そう考えると、たかが里芋団子だけれど

なんだか壮大な悠久の味がしてくるから不思議。
 

*****************************
 

昨日の「日めくりレシピ」は「里芋だんごの五平餅」
 

サトイモと残りごはんをつぶして焼いて、岐阜県の郷土料理である五平餅にしてみました。
 

今日の「日めくりレシピ」は「里芋のねぎ塩炒め」

まとめてゆでた里芋さえあれば、これも簡単にできる一品です。
 

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奥薗壽子で検索してみてくださいね。

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