家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
「サラバ!」で直木賞を受賞された西加奈子さん
私の大好きな作家さんですが
受賞後初のエッセイ集を、ようやく読むことができました。
「まにまに」西加奈子著 KADOKAWA
西さんは、小説も面白いのですが、エッセイもいいです。
今回も、くすっと笑えたり、うんうんと共感できたり
なるほどーと感心したり、読み応えのある一冊でした。
小心で、泣き虫で、口では強がりを言っているくせに
心の中ではびくびく震えている。
そんなに西さん。
私自身と似ている部分がたくさんあるせいか
大好きです。
収録されているエッセイは、全部いいのだけれど
やっぱり、一番いいのは、あとがき。
このエッセイ集は、過去6年間に書かれたものを一冊にまとめたもので
人間そうそう変わるものでないと思っていたのに
読み返してみると、自分はそんなことをしていたのかとびっくりし
あらためて読み返し、過去の自分と再会することになったという話が書かれています。
確かに、6年前の自分と今の自分、そんなに変化しているとは思えないけれど
私自身も、6年前の料理本とかを見てみると
ああ、この時は、まだこんなやり方をしてたんや~、とか
ああ、この時、まだこうやればいいってことに気づいていなかったんやね~
とか
いろんなことが垣間見えてきます。
西さんのまねをして書くと
こんにちは、過去の自分!
って、気持ちになることが、多いです。
でも、確実に言えることは
あの頃の自分と、今の自分は別物ではなく
過去の自分の延長線上に、今の自分がいて
あの頃の自分がいなければ、今の自分もないということ。
そして、さらに言うなら
あの頃の自分より、今の自分の方が、成長していることが
正直うれしかったりします。
「まにまに」というタイトルについても触れられていて
「に」のところで口角が上がるのがいい、と書かれています。
確かに、生きていると、毎日楽しいことばかりではなく
悲しいことも、苦しいことも、腹の立つことも、落ち込むこともある。
けれど、私も、必ず鏡の前で口角をあげてみる。
笑うことはできないときでも、口角ぐらいはあげられるし
口角をあげるだけで、ちょっと気持ちが上に向く。
前を向いて、口角をあげるだけで、よし、まだ頑張れると自分にいいきかせ
いろんなことを乗り越えられそうな気になるし
事実、私自身は、そうやって乗り越えてきた気がします。
だめな自分、いやな自分、情けない自分
それらを全部好きになったり、ましてや治すことは難しいけど
そんな自分でも、少しずつ成長しているとわかるだけでも
なんだかちょっと救われる。
西さんも、きっと、そんな自分をいとおしく感じられたんじゃないかな。
このあとがきを読むと、西さんの弱さと強さとやさしさがいっぱい伝わってきて
もっともっと、西さんが好きになりました。
さてさて、
この本の中で、西さんが毎日食べているという豆腐と葛きりのなべの話が出てくるのですが
そのなべが無性に食べたくなって、作ってみました。
豆腐と葛きり、
そして、栄養バランスをとるために、
ほんの少しの肉と青菜
それをポン酢しょうゆで食べると書かれています。
やってみると、これ、想像するよりはるかにおいしい!!
何がおいしいって、葛きりのもちもちしたちゅるちゅる感と、豆腐の柔らかさのコントラスト
これ、最高!!
なべの時、葛きりって、それほど重要視していなかったんですけど
葛きりって、〆の麺代わりになって
しかも、うどんやラーメンより、もっちりした独特のコシがあり
これは、ハマる!!
ちなみに、青菜は小松菜です。
豚肉とほうれん草だけで作る常夜鍋というがあるのですが
小松菜はアクがないので下茹でなしで食べられるので
鍋ものには、ホウレンソウより、小松菜の方がおすすめです。
今日スーパーに行くと、ぐっと値段も下がっていました。
ベータカロテン、カルシウムも豊富なので
たっぷり食べられるのはうれしいですね。
基本は、豆腐と葛きり。
あとは、有り合わせの肉と野菜を入れればいいだけなので
これ、私もハマりそうな予感。
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