でいりいおくじょのBLOG

2024.09.12

読書日記「デミアン」

3月にお亡くなりになった高橋巌先生が

繰り返し読んでおられた本

 

「デミアン」(ヘルマン・ヘッセ著 高橋健二訳 新潮社)

 

ざっくりと言うと

シンクレールという一人の少年成長物語で

自分の中にある自我に目覚め

本当の自分に出会っていくという成長物語です。

 

最初、高橋先生のご著書の中でこの本を知り

その時、すぐに読みました。

 

240ページほどの本だし

ストーリー自体は、それほど複雑でもないので

割とすぐに読めます。

 

けれど、読んですぐに、

これは長く付き合う本になりそうな予感がしました

 

それで、すぐに2回目を読み

そして更に、デミアンの講座があるので3回目を読みました。

 

読むたびに、なんかどんどん深いところに導かれていく感じです。

 

私が、この本に惹かれる理由は二つ。

 

まず一つ目は

今、自分がここにいるという事の意味を

根源的に考えさせてくれる本なのです。

 

まだ3回しか読んでいないので

現時点では、どれほど読めているのかは心もとないのですが

深く、自分の内面に入っていく扉があちこちにあって

読むたびに、違う扉があく、それだけははっきりと感じます。

 

自分の人生を振り返りながら

ああ、あの時は、まさにそういう事だったのかと思い返したり

自分の中の、よくわかっていないところを

あるいは、自分以外の人の、分からないところ

そういうところに、少しだけ近づける感じもしています。

 

たぶん、これから折に触れて読むたびに

きっと、新たな扉があき

読むたびに、深いところに降りていくことができるのではないかと思っています。

 

2つ目の理由は

物語の途中で、カインとアベルの話が出てきたところ

 

実は、私が、主人公のシンクレールとまさに同じくらいの年齢の頃

父から繰り返しカインとアベルの話を聞いていたのです。

 

その時は、それがどういうことなのかを全く理解できず

というか、正直そんなに興味もなく

 

けれど、父がカインとアベルの話をとても大事にしている事だけは

私にも伝わってきました。

 

物語の中で、デミアンがシンクレールに

旧約聖書のカインとアベルの話をめぐって

一般的な解釈と違う解釈をしてもいいのだと話をするシーンがあるんだけれど

 

私も父から、まさにそういうことを言われたのでした。

 

農業に従事していた兄カイン

牧畜をやっていた弟アベル

 

兄弟それぞれが、自分たちの育てものを神にささげたところ

兄カインのものは受け取ってもらえず、弟アベルのものだけを受け取り

それに怒ったカインがアベルを殺し

楽園を追放されるという話。

 

なぜ、神はカインの貢物を受け取らなかったのか

なぜ、カインは弟を殺し追放されなければならなかったのか

その後、神からのしるしをもらったカインとカインの末裔は、

殺されることもなく生き延びたのは、何を意味しているのか

 

父は、繰り返し私に話して聞かせてくれました。

けれど、肝心なところが、まったく理解できておらず、記憶に残っていません。

 

だから、この本でカインとアベルの話に出会った時は

それだけで、運命を感じたのでした。

今、ここで考えるべきことなのだと

これは、出会うべくしてであった、読むべき本だと。

 

そんなわけで、

デミアンは、私にとってはとても大切な本だという予感があり

読むたびに、その思いが強くなっています。

 

今日は、デミアンのzoomの講座1回目でした。

 

これから毎月1回、全6回の予定で読み進めていくことになります。

自分一人では、分からなかった事

読み過ごしてしまっていたことに

きちんきちんと立ち止まって、考えさせてもらえるのはありがたいなと思っています。

 

カラマーゾフの兄弟に続き

デミアンもまた、私にとっては読み終わらない本になりました。

 

2024年9月11日デミアン

表紙カバー、どっかやってしまった~~

コメント

  1. kako より:

    こんにちは~♪

    「デミアン」奥薗先生にポンと背中を押され
    ポチっと注文ボタンを押してしまいました。

    昔から気になっていたのですが、今まで読んだことが無かったのです。
    若松先生のご著書を検索していて、こちらのブログにたどり着き、
    今度は「デミアン」です !
    不思議なご縁を感じます。
    様々なことが繋がっているんですね。
    そのことに感謝したい気持ちでいっぱいです。

    1. 奥薗壽子 より:

      コメント、ありがとうございます。
      デミアン!
      なんか不思議なご縁ですね。こちらこそ、このご縁に感謝です。

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