でいりいおくじょのBLOG

2014.10.18

切り干し大根は、さっと洗っただけで大丈夫?

「もっと使える乾物の本」(農文協)という本を書いたのが1999年。

この本を書いた背景には、話せば長いドラマがあるのですが

簡単に言えば、
2人の子育てで忙しく、買い物にも行けないし

そもそも、東京に来たばかりでお金もなく、

家にあるもので体にいいものを子供に食べさせれば

食費も医療費も節約できて、一挙両得だわ

という下心でせっせと乾物を料理していたのでした。

京都生まれの京都育ちなので、もともと乾物は食べなれていたし、乾物が好きだったのですが

毎日乾物を料理しているうちに気づいたことがいくつかありました

乾物って、保存食としてはいいけど、昔ながらのやり方なら、すぐに料理できないのでめんどくさいということと

料理法がワンパターンなので、どの乾物を使っても、基本同じような味になる。

しかも、味が濃い。

これじゃ、毎日食べ続けられないわ。

乾物をまとめて作って常備菜にするんじゃなくて

野菜代わりにささっと料理して、たっぷり食べたいのです。

気楽に乾物を料理するにはどうしたらいいのかと考え

戻すプロセスをバーンとカットしてみたら

これが意外に楽ちんで、しかもおいしくできることがわかってきたわけ。

しかも味付けも、しょうゆ、砂糖、みりんだけじゃなくて

ケチャップや牛乳やチーズやオイスターソースで味付けだって全然変じゃない。

大人は、固定概念があるから、高野豆腐にケチャップをかけることに抵抗を感じるけど

子どもたちは全然平気。

高野豆腐って、甘く煮て食べるっていう固定概念がないからね。

そうなると、おもしろくなってきて

乾物をイタリアンにしたり、中華にしたり、もう自由自在に使えるようになって

そうやって出来上がったのが

「もっと使える乾物の本」だったのです。

この本を出してみると、

今まで、そういう発想で書かれた乾物の本がなかったので

ものすごーく喜んで受け入れてくださった方がたくさんいて

そのおかげで、料理研究家として仕事ももらえるようになりました。

そういう意味では、乾物のおかげで今の私がいるといっても過言ではありません。

これで、私の未来も乾物の未来も明るいわ

よかった、よかった…となるかというと、そういうわけでもないんですね。

某大手メーカさん用に

さっと洗った切り干し大根をキッチンはさみで切って

合わせ調味料の中で戻してサラダにするというのを紹介したとき

さっと洗っただけで衛生的に大丈夫なのか、から始まり

そもそも、切り干しは生で食べられるのか、ということを聞かれ

生で食べられるとはどこを調べても書いてないということで

このレシピはどうなのか、というようなことまで言われたことがありました。

生で食べられるって、書いてないかもしれないけど

生で食べられないとも書いてないのでは?と私は思ったけど

(それは口には出さなかった)

かんぴょうをカレー味のピクルスにしたときは

頭がおかしんじゃないかとまで言われたこともあります。

某大手老舗料理番組のテキストで乾物料理を紹介したときは(10年以上前の話ですけど)

切り干し大根をさっと洗って、そのまま調理するとか

干しシイタケを、乾いたままぼきぼき折って使うとか

今までのそんな風に料理した前例がないので

テキストに載せることができないといわれ

結局、下処理の部分はすべてカットされ、戻したところからの作り方だけがテキストに掲載。

本当は、戻し方のところに、私の伝えたいことがたくさん詰まっていたんだけど。

これには後日談があって
2年くらい前だったかな

その番組で三ツ星日本料理店の方が、干しシイタケを乾いたままボキボキ折って、つかっておられたんです!!

三ツ星日本料理の方なら前例がなくてもやれるんだなあということを知り

料理界のヒエラルキーを思い知った私でした。

けれど、最近は乾物の使い方も多様化を極め

自由に料理する人が増えましたね。

時代とともに、新しい使い方や味付けが生まれていけばいいなと思います。

昔ながら、とか 懐かしいとかというのも大事ですが

そこにとどまっていたのでは、乾物は過去の食べ物になってしまう。

新しい調理法を少しずつうまく取り入れて

下処理の方法も味付けのバリエーションも

少しずつ今の時代に合ったものにしていってこそ

乾物は次の世代にも受け継がれていく、素晴らしい日本の食材になると思うのです。

ということで、今日のテーマ

切り干しは、さっと洗うだけで本当に大丈夫なのか?

という件ですが

実は

「もっと使える乾物の本」を書いたときは

子育て中で家を開けることができなかったので

乾物に関する基本知識や、細かい情報については

生産者や、乾物屋さんなどに、手あたり次第電話をかけて取材して情報を集めました。

その後、子供が大きくなってちょっと手を離れたあたりから

実際に全国の生産現場に足を運び

どんな風に乾物が作られているのかを、実際に見て回りました。

その経験から、あの時本で書いたことは、決して間違っていないと確信が持てたし

あの本を書いたときよりも、さらに乾物の知識も増え

料理法に関しても、もっともっとブラッシュアップさせることができました。

その経験を踏まえ

全国シェア90%を誇る宮崎んの切干に関しては

丁寧に大根を育てられていたし

その後の作業もすごく丁寧で(その作業もすごく大変なんですよ)

少なくとも、スーパーなどで売られている袋詰めされた切り干しなら

さっと洗う程度で、まったく問題なく食べられると私は思います。

(もっとも、衛生観念には個人差があるので、それじゃあいやだという人もいることは理解します)

また、切り干し大根の原料は大根なので、生で食べて悪いはずがないですね。

切り干し大根は、

天気が良く、山からの風が吹く日を選んで一日で大根を干しあげて作られています。

天気、風向き、時間を計算して、最高の状態で干しあげるわけです。

干すことで、大根のうまみと甘みが濃縮され、生のダイコンとは全く違うおいしさになる。

水で戻したり、もみ洗いすると、そのおいしさをみすみす外に逃がすことになるのです。

せっかくのおいしさを、最大限次味わうためには、さっと洗って調理

これに勝る下処理はないと思います。

ということで、今日の結論。

切り干しはさっと洗っただけで食べられます。

というより

洗いすぎてはもったいない、というのが私の意見です。

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Youtubeで動画を配信中です。

切り干し大根の下処理方法も詳しく解説しています。

是非、チェックしてみて下さい。

 戻さずに使う奥薗流の乾物テク。食物繊維たっぷりのヘルシー常備菜です。 – YouTube

 

我が家の定番!切り干し大根入り焼きそばも是非!

 切り干し大根が焼きそばに化けて、まさかのおいしさになる!ダイエットにもおすすめのヘルシー焼きそばの作り方 – YouTube

 

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