でいりいおくじょのBLOG

2014.10.21

ひき肉を炒めるのに油は必要ですか?

ずーっと以前、生協の役員をやっていたことがありました。

役員というのは、学校でいうとクラス委員みたいなもので

生協の組合員のお世話がかかりですね。
 

組合員さん向けの料理教室や試食会を企画したり

生産者さんのお話を聞きに行ったり

いろいろ面白い経験をさせてもらいました。

その時の話です。

生協の商品を使った焼きそばの試食会というのをやったんです。

こういうのって、生協の商品を使うんだから、どんどん好きなものを好きなだけ使っていいかということ、そういうわけでもなく

それなりに予算の枠というのがあるんです。

切り詰めないといけないところは、切り詰めていく必要がある。
 

それで、どこを切り詰めていくかという話になって

サラダ油はいらないということになったんです。
 

私が入っていた生協は、原料も製法にもかなりストイックにこだわっているところだったので
100%菜種油は、めちゃ高価だったんですね。

でも、サラダ油なしで、どうやって焼きそば作るのか?
 

そうしたら、年配のベテラン役員さんいわく、
 

「そんなの、最初に肉を炒めて、出てきた肉の脂で野菜も焼きそばも炒めたらいいのよ!!」

「あのぉ、それって肉くっつきませんか?」

「いつもやってるから、全然大丈夫!!」
 

やっぱ主婦はすごいわ。

経験つんでるって素晴らしいわ。
 

やってみると、確かに肉の脂だけで十分だし

コクもあっておいしい!!
 

その経験が私の中にしっかり習慣として確立されたのはいうまでもありません。
 

さて、その脂の話は、ひとまず置いておいて、ひき肉の話です。
 

私は肉の下味というのはとっても大事だと思っていて

野菜炒めを作るときでも

肉に下味をつけないで、野菜炒めの味をピタッと決めるのって、

相当難しいんじゃないかと思っています。
 

そう考えたとき

じゃあ、ひき肉はどうなんだと思ったんですね。

ひき肉に下味をつけるっていう発想、ふつうはないですね。
 

ひき肉でそぼろを作るときでも

ひき肉に下味をつけてから炒めるんじゃなくて

炒めてから味をつける。

でも、肉は加熱すると、たんぱく質が変質してしまうから

生のうちに味をつけたほうが、断然味は入りやすい。
 

ならばひき肉だって、生のうちに下味をつけたほうがいいやないの?

と思ったんです。
 

でも、どうやって下味をつける?

薄切りに肉なら、ポリ袋に入れてモミモミするけど

ひき肉だと、モミモミしたら肉団子みたいになって、ひき肉の粒粒がなくなってしまう。
 

かといって、ボウルにひき肉と調味料を入れて、粒粒をつぶさないように混ぜるっていうのも、なんだかめんどくさい。
 

と、そこで頭に浮かんだのが、冒頭に書いた生協の肉の脂の話
 

肉は油を入れなくても、自分の脂で炒めることができる!?

それなら、フライパンの中にひき肉を入れて

その中で下味をつけて、そのまま炒めてもいけるんやないの?

と思ったんです。

これなら洗い物も増えないし、ひき肉の粒粒もつぶれないし。
 

早速やってみたら大成功!!

よし、これはいける。
 

そのあと、いろいろやってみた結果

ひき肉って、フライパンを熱くしたところに入れたら、べたっとくっつくことがあるのに

こんな風に、フライパンに入れてから火にかけると、逆にくっつかないことがわかったんです。
 

考えてみたら肉の脂って、割と低い温度で溶け始めるんですよね。
 

育て方や品種によって差があるらしいんだけど

牛脂 40~50℃

豚脂 28~48℃

鶏脂  20~40℃
 

ということは

タンパク質が固まり始めるのが大体60℃前後ですから

低い温度からじわじわ温度を上げていくと、たんぱく質が固まるより脂のほうが先に溶け出すわけです。

脂が溶け出した後、温度がさらに上がってタンパク質が固まり始めるので

うまい具合に、自分の脂で焼けるというわけ。
 

反対にあつーいフライパンに入れてしまうと、脂が溶け出す前にたんぱく質が固まってしまうから、先にサラダ油を入れておかないとくっつくんですね。
 

ということで、今日の結論

ひき肉を炒めるのに油は必要か?
 

答えはNOです。必要ありません。

火にかける前のフライパンにひき肉を入れ、下味を混ぜてから火にかけると

じっくり脂が溶け出して、自分の脂で上手に炒められます。

ただし、火加減は中火。

火が強すぎると、急激に温度が上がり、

やっぱり脂が溶け出す前に、たんぱく質が焦げてしまうので注意してください。
 

それから、フッ素加工でなくても鉄のフライパンでも同様にできると思いますが

私の経験では、多重層のフライパンはこのやり方ではくっつく可能性があります。

(なぜだかわからないんだけど)

なので、多重層のフライパンの時は、ひき肉を大きく広げて入れてから火にかけ

加熱途中は木べらなどで触らずに焼き付けること

こんがりいい焼き色がついたら、パリッとはがれるので、それからバラバラになるように炒めるといいですね。

もし肉がくっついているようなら、濡れふきんの上にフライパンを置いて

一瞬温度を下げると、肉がはがれるはずです。
 

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昨日の「日めくりレシピ」は「なすとキノコのマーボー」

ノンオイルのヘルシーマーボーです。

ひき肉を油なしで炒める方法を使えば

マーボーだってノンオイルでおいしくできちゃいますよ。
 

今日の「日めくりレシピ」は「がんもどきのおろし煮」

たっぷり含んだカツオだしのおいしさが、口いっぱいに広がります。

かつおだしは、もちろん鰹節を全部食べちゃう奥薗流。
 

「日めくりレシピ」はツイッターでも毎日紹介しています。

奥薗壽子で検索してみてください。

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