でいりいおくじょのBLOG

2014.10.03

肉の切り方を変えるだけで、おいしく減塩することは可能か

脳科学の本を読んでいると、たいていの本に書かれているのは

脳は騙されやすいということ。

それならば

うまく脳をだませれば、調味料を少なくしても

味を濃く感じたり、おいしく感じたりすることは可能なはず。

どうやって、脳をだますか、

それを減塩のテクニックとして使えないか?

数年前、減塩の本を書いたときに

最初に考えたのが、そのことでした。
 

単に塩分を減らすだけの減塩では、食べる人も作る人も食べることの楽しさや満足感を

失ってしまいます。

そのために、減塩のテクニックがいるわけです。

テクニックというと、なんだか難しい感じがしますが

いかに脳をだますかと考えれば、ゲームみたいで楽しくなりませんか?
 

減塩には2通りの考えがあって

1.口から入る塩分(ナトリウム)を少なくすることと

2.カリウムなどのミネラルを取って、体に入った塩分(ナトリウム)を排出させること。
 

更に

口から入る塩分を減らすためには2通りのやり方があって

1.使う調味料を少なくする

2.食べる量を減らす
 

使う調味料を少なくするというのは、言い換えれば薄味にするということなんだけれど

単に薄くしただけでは、結局おいしくなくなる。
 

そこでです。冒頭の話

薄味にしても、おいしく感じるには

おいしく感じるように、うまく脳をだましたらいいんじゃないか

と考えたんです。
 

私が最初に目をつけたのは下味でした。
 

料理をおいしく仕上げるために、下味というのはとっても重要で

下味なしに肉や魚を加熱して、あとから味を入れようとしても

加熱にしてタンパク質が固まってしまってからでは、味が入りにくく

味がうまくなじみません。

肉や魚が生の間に味を入れておけば、加熱した時点で塩味を含むので

あとから入れる調味料と、うまく馴染むんですね。
 

でも、その下味の塩分が、結構ばかにならなくて

照り焼きとか、炒めものとか、最後にがーっと調味料を絡めて仕上げるような料理のばあい

最後にからめる調味料の塩分を考えると

できれば下味で塩分を取りたくない。
 

ところが
 

例えば、鶏の照り焼き。

鶏もも肉を大きいまま焼いて、最後にたれを絡めて仕上げるとすると

口に入れて、肉をかんでいるうちに、

肉自体に下味がついていれば、噛んでいるうちに肉のうまみが口の中に広がるけれど

肉自体に下味がついていないと

口の中で肉の味と調味料の味がばらばらのまま、うまく混ざらなくて

なんか肉の味が今一つ物足りないと感じでしまう。
 

うまみ成分のイノシン酸は、イノシン酸ナトリウムという、ナトリウムと結びついた形でないと旨みを感じることができないのです。

わかりやすい例でいうと

かつおだしって、確かにうまみが溶け出しているのはわかるけれど

塩や醤油が入っていないと、おいしいのかどうか、まったくわからない味なんです。

塩や醤油のナトリウムをプラスすることで、おいしいと認識できるわけです。

肉や魚の場合もこれと一緒で

口の中で、肉のうまみ成分とナトリウムがうまく混ざりあわなければ、おいしく感じない。
 

となると、うまみ成分とナトリウムを素早く混ざり合わせることができる下味は

肉のうまみを引き出すために、どうしても必要なプロセスなんですね。

下味をやめれば、その分塩分は減らせるじゃないかというような

そんな単純なことではないのです。
 

塩分を減らすには、下味の塩分を減らすべきか

あとからからめる調味料を減らすべきか

おいしい照り焼きを作るには、どっちが有効?
 

そうして、いろいろ試してみて、最終的にたどり着いた結論は
 

そぎ切りにして、表面積を増やすこと

肉の表面に小麦粉をまぶすことで、調味料をしっかりからめること。
 

肉の表面積を増やし、そこにたれを絡めることで

口に入れた途端、すぐに肉と調味料が混ざり合います。

そうすると、調味料を減らしても、下はしっかり味を感知できるのです。
 

鶏肉は、表面積を増やすだけなら、一口大でもいいのではと思うかもしれませんが

厚さのないそぎ切りのほうが、口に入れたときに、調味料と肉がすばやく混ざりあって、物足りなさを感じません。
 

また、小麦粉をまぶすことで、表面の粉が調味料を吸って肉に密着するので、下味をつけたのと同じような効果が得られます。

もちろん、肉を柔らかく仕上げる効果もあります。
 

さらに、私がもう一つ実験したのは
 

下味をしっかりつけて、薄味の調味料をからめた場合と

下味をやめて、しっかり濃い味の調味料をからめた場合とでは

どちらのほうが、おいしく感じるか。
 

この場合は、後者のほうが、断然満足度は高いです。

薄い調味料を絡めると、最初口に入れたときに、

なんか薄いなあと感じた印象が最後まで残ってしまうのに対し
 

しっかり味をからめたほうは、

最初口に入れたときに舌が濃い味を認識するので、そのたれの味で最後までおいしく感じ、下味のなさは、ほとんど気が付きません。
 

ということで、今日の結論です。
 

肉を薄切り、またはそぎきりにして表面積を大きくする

肉の表面に駒をまぶして、調味料をしっかりからませる。
 

その結果、普通に美味しく食べて減塩することが可能になるはずです。
 

*************************

今日の「日めくりレシピ」は「鶏のトマトにんにく照り焼き」
 

鶏肉をニンニク風味の照り焼きにしました。

もちろん鶏もも肉はそぎ切り
 

うまみ成分の多いトマトやしめじを加えることで

さらに、減塩効果をアップさせました。
 

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