でいりいおくじょのBLOG

2024.08.09

山種美術館「東山魁夷と日本の夏」

今日は山種美術館で

「東山魁夷と日本の夏」を見てきました。

 

東山魁夷は、好きというよりも

なんとも言えず、心の奥の深いところで

惹きつけられるものがあって

折に触れて画集を見たりしてます。

 

なので、今回の特別展もすごく楽しみにしていて

ようやく行くことができました。

 

東山魁夷2

 

美術館での絵の見方って、人それぞれだと思うのですが

 

私は、最初に、ザーッと展示されている絵を全部見て、

それから、最初に戻って、また見て

そうやって、何度か繰り返し、

何回か回っているうちに、

今日のお気に入りの一枚を見つけていくというスタイルです

 

今回は、前半が東山魁夷で

(日本の四季を描いた作品や、海の岩と波を書いた作品など)

後半は、他の人が描いた日本の夏をテーマにした作品。

 

後半の方は

花火の絵があったり、夏の草花や、浴衣姿を書いたものなどがあり

日本の夏、良いなあって思わせるものでした

私の好きな奥村土牛の作品も数点あり

特に、びわの木を描いたのとかは、すごく好きでした。

 

でも、やっぱり、

今回は、東山魁夷です。

 

東山魁夷と言えば、やっぱり風景画なので

どれもすべて素晴らしかった。

 

東山魁夷4

<月出づ>

 

東山魁夷3

<緑潤う>

この2つ、すごく好きでした。

 

でも、

今回、私が惹かれたのは

これ

 

東山魁夷1

<白い壁>

 

東山魁夷は子供の頃夜泣きがひどく

母親におんぶされてこの壁の所に来ると泣き止んだそう。

 

その時の記憶をたどりながら描いたのがこの作品で

見ていると、なんとも言えず、不思議な気持ちになるんです。

 

最初は、暗いんですよ

それがじっと見ていると

青みがかったグレーの壁がぼーっと浮かび上がってくる

 

更に見ていると

ほわんと白く光って見えたり

青白くなったり

 

月の光がさしているのか

なんとも言えず、優しい光も感じられてくる。

 

そのうち、どういえば良いのか、

なんか不思議な懐かしさみたいなものも感じられてくる

 

詩の講座で教えて頂いた

谷川俊太郎さんの詩の一節がふと思い出され

 

しんだあととうまれるまえと

まあるくわになってつながっている

 

その詩の一節が思い浮かんだら

この白い壁にある小さな窓が

なにか命の入り口のようにも見えてきて

 

ああ、あそこから生まれてきて

もう、引き返せないから、すごく悲しいけれど

でも、こっちの世界も、そんなに悪い所じゃなさそうだ

 

みたいな気持ちになってくるのでした。

 

幼い東山魁夷が、毎晩夜泣きして

この壁を見たら泣き止んだ

 

その感じが、その時、少しわかったような気がしたのでした。

 

この絵は、絵葉書で見ると

そんな感じが伝わりにくいかもしれませんが

 

実際の絵の前に立つと

不思議な懐かしさ、遠い遠い記憶の風景に導かれるような気持ちになります。

 

たぶん、この絵の前で30分以上(もしかしたら1時間近く)、

見ていたと思います。

それぐらい、心惹かれる不思議な一枚でした。

 

今回も、堪能できました

 

時間があれば、もう一度見に行きたい展覧会でした。

おすすめです。

 

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