でいりいおくじょのBLOG

2021.08.29

読書日記「洗面器でヤギごはん」

子供の頃から本が大好きで

常に面白い本はないかと探していて

読みたい本は、どんどん増えるばかり。

 

そんな中で、最近面白いと教えてもらったのが

たまたま以前から気になっていた本だったので

さっそく読んでみました。

 

「洗面器でヤギごはん」(石田ゆうすけ著 幻冬舎文庫)

 

この本は、

<世界9万5000キロメートルを一人で自転車ひとり旅>シリーズの

第3弾。

 

第1弾と第2弾もあるんだけれど

教えてもらったのが第3弾だったので、とりあえずこれを読むことにしました。

 

というのも

この第3弾は、自転車一人旅の食べ物の話なので

これはもう読むしかないと思ったのです。

 

1995年にアラスカをスタートして

当初3年半で世界を回る計画だったのが

最終的には7年5か月

それも自転車で。

いやあ、すごいです。

 

私は食べ物に対して許容範囲は広いし、柔軟性もあると自分では思っていましたが

この本を読んでみて

絶対無理!!って思いましたね。

 

自転車で行く先々で食事をしていくんだけれど

いやあ、現地のものってすごいですよ。

 

すえた臭いのするご飯とか

いったい何が入っているかわかんないような煮込みとか

 

あるいは、現地の氷が入った飲み物とか

アイスクリームとか

ヨーグルトとか

 

途中、何度も、おなかを壊し

脂汗を流して、七転八倒する話も出てくるんだけれど

それでも、全然びくともしない

すごいです。

 

この本を読んでみて

一番心に残ったのは

文化と文明ってことでした。

 

著者の石田ゆうすけさんが、司馬遼太郎の言葉を引用しておられる個所があって

 

文化は民族など特定の集団にのみ通用する特殊なもので

文明は普遍的なものだ。

 

アフリカを横断される時に

これを書いておられたんだけれど

すごくせつなくなりました。

 

ある地域で、ある民族が暮らしている時

そこには、長い歴史の中で受け継がれてきた文化があります

 

例えば、みんなで輪になって、おかずをとりわけながら食べるというような。

 

けれど、文明というものがそこに入ってくると

あっという間に、そういうものが破壊されて

清潔で、効率的で、均一な世界になってしまう。

 

いや、文明が進むことが悪いことではないと思うんだけれど

歴史の中で、受け継がれてきたものは

まるで、ローラーで平らにするように

きれいに整理整頓されて、均一にされてしまう。

 

コンビニやら、大量生産されたものが入り込む。

 

そういえば

子供の頃、おばあちゃんが作ってくれるお寿司が大好きだったんだけれど

ある時、親戚のおばさんが

すし飯を作る素を持ってきて

こういうものを使って作る方が都会的でおいしいんだといって

おばあちゃんに渡したことがあって

おばあちゃんも、そういうものかと思ってそれを使い始めたんです。

 

私は、おばあちゃんが作るすし飯の方が好きだったけれど

言えないままでした。

あの時、おばあちゃんの家の食文化の灯が一つ消えたと思います。

 

そんな風に、世界のあちこちで、

伝統や、文化が消えていっているんだなあというのを感じ

それが、ちょっと切なくなりました

 

特にアフリカなどは

世界の強い国に支配されて、文化が壊されたと同時に格差も生まれた

そこが、読んでいて、すごく苦しくなったりしました。

 

それにしても7年5か月

日本に帰ってきたときは

ついに返ってきた~~~~って、感じじゃなく

現実感のないふわふわした感覚で日本の中を自転車で走られるんだけれど

 

なんか、そのシーンに、逆にすごくリアリテイ―を感じました。

 

旅というのは、帰るところがあるから旅を楽しめるのであって

旅の方が、日常になってしまったら

日常の方が、非現実になる

というのを何かで読んだことがあったのを思い出し

それは、こういう事なんだなあって思ったのでした。

 

まあ、世界の食べ物、いろんなものが出てきて

それぞれにおいしそうだったり、ええーっだったり

でも、自分では絶対にいけない旅なので

面白く読めました。

 

世界は広いようで、案外狭いのかも

なんて、ちょっと思える本でした。

 

おすすめです。

 

洗面器でヤギごはん

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