でいりいおくじょのBLOG

2019.02.24

読書日記「阿吽」

めちゃめちゃ面白い本に出合いました

本といっても、漫画です。

漫画ですが、かなりガチです。

 

「阿吽」①~⑨

おかざき真理著  小学館

 

時は平安時代

主人公は最澄と空海。

 

京都学を学ぶ上で最澄と空海は最重要人物なので

これまで、この2人に関する本はいろいろ読んでいて

当然、この漫画のことも知っていたのですが

 

漫画だし、さらっと歴史を扱っているか

或いは、面白おかしく空海と最澄の半生が描かれているか

なんだろうなあ、と勝手に決めつけていて、

全く興味がなかったのです

 

たまたま電子書籍で試し読みをやっていたので読んでみたら

あまりの深い世界に唸りました。

 

参考文献もすごく

ものすごく勉強されて書いておられるのが、どのページからもあふれ出ていて

読みだしたら、ページをめくる手が止まらず

1巻から9巻まで一気読みです

 

でも、まだこれ、連載途中で

 

最澄と空海の生い立ちから、

唐への留学。

9巻目は

修業期間20年を2年で切り上げて日本に返ってきた空海が

九州に足止めされ

京都に帰ってきて

高雄山寺で鎮護国家の修法を執り行うところまで。

 

 

それにしても、平安時代というのは

いろんな意味で、本当にどろどろしていますね。

魑魅魍魎が普通にうろうろしてそう。

 

仏教を中心とした律令国家としてスタートを切った平城京

それが、やがて寺院が法を脅かすほどの力をもちはじめ

そこに権力や富、愛憎といった人間の根源にある執着が絡みあって

ドロドロする様は、まさに日本版シェークスピアです。

 

そのドロドロした愛憎から解放されるために、

朝廷や貴族がすがったのが密教。

 

もともと仏教というのはカウンセリング的要素が強く

そこに天皇をはじめ貴族の人たちが救いを求めたのだけれど

密教はさらに、加持祈祷という呪術的要素が入ってくるので

魂の救済を求める権力者のニーズに合っていたんですね。

 

その密教を空海が正当な継承者として日本に持ち帰ってきてわけですから

空海が時代の寵児となっていくのは当然の流れ。

 

一方最澄はというと

奈良の仏教界と京都の仏教界との確執を、最澄が矢面に立って受け止めることになり

まさに満身創痍

 

しかも、都を守るため、天皇を守るために唐にわたって天台宗を深く学んできたのに

都で必要とされたのは密教。

 

最澄は天才だけれど運がない

という言葉が出てくるけれど

まさにその通り。

名前のごとく、限りなくピュアであるために、よけい傷ついて、ただただ涙涙。

 

(全然関係ないけれど、「空海」という古い映画の中で最澄を演じているのが加藤剛さんで

これがもう、この漫画の中で書かれている最澄のイメージそのもので

漫画の中の最澄は、私の中で加藤剛さんでした)

 

タイトルの阿吽のごとく、空海と最澄は一対なんだなと思います。

 

太陽と月、光と影、陰と陽

一見、空海に光があったっているように見えるけれど

最澄無しでは、空海の光もない。

 

あらためて、そんな感じがしました。

 

この漫画、まだまだ話がこれからで、これからが面白くなるので

この段階で多くを語れないのが残念。

早く続きが読みたくて仕方がないです。

 

かなりマニアックな漫画ではありますが

京都の歴史や哲学に興味があれば

絶対、ハマると思います。

私的には、めちゃめちゃおすすめ。

 

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